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『アラン・ケイ』ケイ,アラン・C.(アスキー)

アラン・ケイ

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エンゲルバートを紹介したので、続けてもう1人だけ偉人伝シリーズを。アラン・ケイはパーソナル・コンピュータという概念を初めて提唱した先駆的研究者である。1960年代のコンピュータというのは、重戦車のような代物だった。大きくて重く、日本の1LDKには入りきらないほどの図体で鎮座ましまし、多くの信者に傅かれてやっとこ動いていたのである。これを1人1台体制で使えるようにしよう!というのは常人の発想ではない。「将来コンピュータの重量は、1.5トン以下になるかも知れない」と予想する科学雑誌や「家庭にコンピュータを欲しいと思う人などいる訳がない」と公言するコンピュータベンダ社長がいた頃の話である。神社が神棚になって家庭に入るくらいのインパクトがあるのだ。

 しかし、現実を見れば世の中はアラン・ケイの構想どおりに動いたのである。その後もアラン・ケイはオブジェクト理論、GUIなどに重要な足跡を残し、Apple Macintoshにも大きな影響を与えた。我々がアラン・ケイになることは難しいかも知れないが、彼の発想に対する姿勢やその実現手法は多くのエンジニアの参考になる。ジャズ・プレイヤとしても有名。

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