『我らの時代 男だけの世界』ヘミングウェイ全短編(新潮社)
我らの時代
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1.この本との出会いはいつですか?
中学二年生の時,東京に遊びにいく際の暇つぶしに買ったみたいです.実際に読みきった時期でいうと高校二年生になります.三年間放ったらかしていた計算になりますね.笑
2.どんな内容の本ですか?
『老人と海』『誰がために鐘はなる』など世界的にも有名な著書を残した作家ヘミングウェイの初期短篇集です.極めて現実的で,簡素な文体で著された短編がユニークな方法で構成されています.また,筆者が第一次世界大戦から生還して間もない頃から書き始められたため「戦争の傷痕」のイメージが常に見え隠れしているように思えます.
3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)
いわば非日常の極みにある戦争から帰還した若者が従来の日常生活に馴染めず疎外感,孤独感を感じたり,あるいは故郷の大自然に触れているうちに自分の失った日常を取り戻していく様子がかすかな情緒を感じさせつつ淡々と描かれているところが気に入っています.また各短編章の間に挟まれる半ページ分しかない短い中間章の,ある情景をひたすらリアルに描き出していく,という内容に衝撃を受けました.
4.この本からどのような影響を受けましたか?
特に「われらの時代」という短篇集には大変な感銘を受け,何周でも読みまわしていた時期がありました.大学に入ってから自分で買った本のラインナップを考えても,本作品の影響を多分に受けていると認めざるを得ません.僕の文学観の形成にあたって重要な部分を成している思い出の作品です.