書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

第23位 『凍』 沢木耕太郎

→紀伊國屋書店で購入 (新潮社/税込1,680円) 自分の手足の指を切断してまで・・・。最愛の妻を氷壁に宙吊りにしてまで・・・。孤高のクライマーの単なる征服欲なのか? それとも究極の夫婦愛なのか? 山野井夫妻にしかありえない登山の物語!!! 沢木流ノ…

第23位 『沖で待つ』 絲山秋子

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/税込1,000円) 絲山秋子の描く世界はいつもあたたかく少しさびしい。そして、綴る文章はいつもいろんな世界を軽やかに飛び越え行き来する変幻自在の魔法みたいだ。芥川賞受賞作の本作は、読み終えるのがもったいなくて何度…

第26位 『きいろいゾウ』 西加奈子

→紀伊國屋書店で購入 (小学館/税込1,575円) 運命の夫婦、ムコとツマこの響きだけで素敵! と思うのは私だけでしょうか? 平凡な小さな小さな幸せでいいのです。普通のことがふとしたきっかけでとても大切なことに見えてしまう。「どうして結婚したの?」…

第27位 『銃とチョコレート』 乙一

→紀伊國屋書店で購入 (講談社/税込2,100円) とうとう乙一が・・・ミステリーランドに! 本好きにはたまらない装丁と豪華な執筆陣。乙一約3年ぶりの新刊。いやがおうにも期待がふくらみます。内容は明朗快活な冒険活劇! で終わるわけもなく、ラストはさ…

第28位 『臨死!!江古田ちゃん 第1巻』 瀧波ユカリ

→紀伊國屋書店で購入 (講談社/税込550円) 作家も認める「電車で読むと恥ずかしい本」。幸福で可愛い女の子には読んで欲しくない。女をあきらめ、又は、女を武器にして生きてやる! と人生開き直った働く女性に是非オススメの一冊! 行きつけの犬が欲しい…

第29位 『カラスヤサトシ』 カラスヤサトシ

→紀伊國屋書店で購入 (講談社/税込590円) 超自意識過剰で内向的で仮面ライダーのガシャポンをこよなく愛する漫画家の日常? そんなもん知るかい! と思いきや、共感できるエピソードに付箋を貼っていったら本の上が付箋びっしりで箒みたいになってしまい…

第30位 『難儀でござる』 岩井三四二

→紀伊國屋書店で購入 (光文社/税込1,680円) 収入、家族・・・大事なものは時代が変われど変わらない。主君のため、国のためと建て前は一丁前だが、本音は収入のため、家族のため奮闘する戦国時代のサラリーマン奮戦記。「戦国武将に学ぶ~」なんてうさん…

『フーコー・ガイドブック』ミシェル・フーコーほか(筑摩書房)

→紀伊國屋書店で購入 「フーコーの思考と生活の見取り図」 『フーコー思考集成』全一〇冊の主な文章がちくま学芸文庫で、フーコー・コレクションとして、『狂気・理性』『文学・侵犯』『言説・表象』『権力・監禁』『性・真理』『生政治・統治』の六冊の文庫…

番外編 『よいこととわるいことって、なに?』 オスカー・ブルニフィエ クレマン・ドゥヴォー

→紀伊國屋書店で購入 (朝日出版社/税込1,470円) 大人になって“こむずかしい事”がグルグルグチャグチャ絡み合ってもうイヤッ!! こどもたちの言葉がそれを単純な一本の“ひも”にもどしてくれます。大人こそ読んでもらいたい。 (豊岡邦子・松山店) →紀伊…

番外編 『希望について』 立岩真也

→紀伊國屋書店で購入 (青土社/税込2,310円) 立岩真也を知らなくてもよい。立ち読みでもよい。「VIII 死なないこと」だけでいいから、それすら長すぎるならその中の「ただいきるだけではいけないはよくない」だけは読んで欲しい。それで何かが、少しかもし…

番外編 『どっちがへん?』 岩井俊雄

→紀伊國屋書店で購入 (紀伊國屋書店/税込525円) 児童書売場の者として、この自社大ヒット作の推薦を外す訳にはいきません。単純ながらこれまでにないアイディアの作品にわが子も夢中になりました。続編を待てず、自分で続きを描きましたが子どもに受けま…

番外編 『地球の食卓』 ピーター・メンゼル フェイス・ダルシオ

→紀伊國屋書店で購入 (TOTO出版/税込2,940円) 「あの国の人たちは、どんなものを食べているのだろう?」 世界24か国、30家族の1週間分の食材データと、食卓の風景。1週間分の食材を集めた写真は圧巻です。「食」に関するエッセイも読みごたえがあり…

番外編 『出版業界最底辺日記』 塩山芳明

→紀伊國屋書店で購入 (筑摩書房(ちくま文庫)/税込997円) 「美しい出版業界へ」「出版業界の品格」・・・であるわけがないエロ漫画雑誌の凶悪編集長の芸術的というべき悪態。これが切れるのよ。遠距離通勤での読書がまた妙に渋くて、いい。さて、いっし…

番外編 『東京大学「80年代地下文化論」講義』 宮沢章夫

→紀伊國屋書店で購入 (白夜書房/税込2,000円) 80年代はスカだったとは随分前から言われ続けています。60年代70年代のように美化されることの少ない10年間、はたしてその実体は何だったのでしょうね。もうサブカルとは呼ばせないぞ? (北村貴克・…

番外編 『心にナイフをしのばせて』 奥野修司

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/税込1,649円) 同級生の首と胴体を切り離した少年は、弁護士になったー。加害少年は地位と名誉を得たのに対し、一方で被害者側の家族は、謝罪を受けることもなく、30年間も苦しみに時をうずめる。法律の無情さ、被害者の…

番外編 『若者はなぜ3年で辞めるのか?』 城繁幸

→紀伊國屋書店で購入 (光文社/税込735円) 「私のこと!?」と思わず手を伸ばしてしまいそのまま一気に読み終えてしまいました。そう、そうなのよーという若者の声を代弁してくれる一冊。この現状、大声で叫びたいあなたに是非おススメします。 (高澤敦子…

番外編 『あなたに不利な証拠として』 ローリー・リン・ドラモンド

→紀伊國屋書店で購入 (早川書房/税込1,365円) 5人の女性警察官の日常を描いた連続短編集。と聞いて、警察小説だからと無関心になってはあまりにも勿体ない。読み進むにつれ、感覚の記憶、様々な情緒が呼び起され、衝撃の余韻が心に強さと柔らかさを生じ…

番外編 『風の影(上・下)』 カルロス・ルイス・サフォン

→紀伊國屋書店で購入(上巻) →紀伊國屋書店で購入(下巻) (集英社/上 税込780円 下 税込780円) 「忘れられた本の墓場」で少年が見つけた一冊の本をめぐる物語。読むほどにイメージがふくらんでいく。中世とゴシックが色濃く残るバルセロナの街。人の心…

番外編 『風に吹かれて豆腐屋ジョニー』 伊藤信吾

→紀伊國屋書店で購入 (講談社/税込1,365円) ジョニーって知ってる? 今や大人気の豆腐のことや。この本はジョニーがなぜ大ヒット商品になったのか、社長さんのアイデア満載、お腹いっぱいの1冊や! 「つねに変化し続けるしか、生き残る道はない!」この…

『カンボジア史再考』北川香子(連合出版)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 本書のタイトルの「再考」が、なんとも挑戦的だ。帯には、「アンコール文明もその後の歴史の変…

『〈テロル〉との戦争 : 9.11以後の世界』西谷修(以文社)

→紀伊國屋書店で購入 「九・一一以後の世界を考えるための手がかり」 西谷修の『「テロとの戦争」とは何か』は、九・一一テロの後の世界の動きを追跡しながら分析する好著だったが、その後のイラク戦争の経緯を踏まえた増補版『〈テロル〉との戦争』が刊行さ…

『キリスト教の伝統』J.ペリカン(教文館)

→紀伊國屋書店で購入 「キリスト教の教理史の定番書」 著者のペリカンは訳者によるとハルナックの孫弟子にあたるらしく、ハルナックの偉大な著作『教理史』について「古くはなったが、いまだに本書を乗り越えた著作はない」と称えている。しかし訳者はみずか…

『In the Company of the Courtesan』 Sarah Dunant (Little Brown)

→紀伊國屋書店で購入 In the Company of a Courtesan is Sarah Dunant’s second novel after the very successful Birth of Venus. Mid 16th century Rome is being sacked by protestant Spaniards and Germans. In the middle of this bloodshed we have F…

『感じて動く』佐渡裕 聞き手:辻秀一(ポプラ社)

→紀伊國屋書店で購入 クラシック音楽界で押しも押されぬスターとなった佐渡裕。その佐渡は修業時代に「バーンスタインに会うためにアメリカに行ったのに、そこからウィーンに飛ばされて放りっぱなしにされてしまったのです。世の中からつまみ上げられて、ボ…

『歴史叙述とナショナリズム-タイ近代史批判序説』小泉順子(東京大学出版会)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 本書には、タイの歴史をすこしでも知っていれば、ワクワクするような「新たな切り口・視角」が…

ボージョレ・ヌーボー解禁間近!世界のワイン情報は海外マガジンでチェック!

●年6回刊「CUISINE ET VINS DE FRANCE」(フランス) ●月刊「DECANTER」(イギリス) ●年17回刊「WINE SPECTATOR」(アメリカ)ワインの季節がやってきた。ワインの生産地として有名なフランス・ボージョレ地区の新酒、ボージョレ・ヌーボーが11月16日に解禁…