書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2007-08-24から1日間の記事一覧

『To the Lighthouse』Virginia Woolf(Penguin)

→紀伊國屋書店で購入 「ご婦人対おやじ」 日本でもファンの多いヴァージニア・ウルフ。神経を病み自死を遂げた悲劇の小説家というイメージが強いが、いたずらっぽくておしゃべり好きなところもあった。『灯台へ』は『ダロウェイ夫人』とならんでその代表作。…

『生きることを学ぶ、終に』 ジャック・デリダ[著] 鵜飼哲[訳] (みすず書房)

→紀伊國屋書店で購入 デリダを読み、「生き残り」をどう生きるか考えよう. 都内は先週、記録的猛暑で最高気温を更新したが、昨日も、そして明日もあさっても、私はALSの人たちの付き添い(目撃者として)である。彼らの生き方は真夏も真冬も関係ない。む…

『働かない-「怠けもの」と呼ばれた人たち』 トム・ルッツ[著] 小澤英実ほか[訳] (青土社)

→紀伊國屋書店で購入 「働いて自由になれ」、アウシュビッツの門にそう書いてあった グッゲンビュール=クレイグの『老愚者考』は、老人は老い故の愚行にどっぷりで少しも構わないのに何でこんなに「若いもんに負けるか」と気張るのか、と言う。「彼らは方向…

『古典期アテナイ民衆の宗教』ジョン・D.マイケルソン(法政大学出版局)

→紀伊國屋書店で購入 「民衆の宗教心の解読方法」 古典期のアテナイの民間宗教をとりだすというのは、想像以上に困難な仕事である。今から二千五百年も昔、紀元前五世紀から四世紀にかけての大衆の宗教心を解明しようとするのに、当時の文学的な仕事や哲学の…