書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2007-08-29から1日間の記事一覧

『文字をよむ』 池田紘一&今西祐一郎編 (九州大学出版会)

→紀伊國屋書店で購入 九州大学の先生方を中心とした文字に関する論集で、20本の論文がおさめられている。話題は文字の起源から漢字学、日本語の表記史、世界各地の文字、文字の脳科学まで多岐にわたる。カバーする範囲が広いので、すべての論文に興味がもて…

『藝大生の自画像』河邑厚徳(日本放送出版協会)

→紀伊國屋書店で購入 「気がかりでミーハーで文化の香り」 嫉妬に満ちた、それ以上に恐れに近い一番の気がかりは、攻撃的な松井冬子さんです。女子美のスキンヘッド時代にお会いしたかったものです。彼女の「この疾患を治癒させるために破壊する」は圧巻です…

『アントニオ・カルロス・ジョビン』エレーナ・ジョビン(青土社)

→紀伊國屋書店で購入 「ボサノヴァの創始者と、彼の母国の魅力を伝える」 ふとした出来心で買って開かないまま、古本屋行きになる本があるが、この本は幸いそういう運命を免れ、いつか読むだろうと、そのいつかがいつになるかわからないまま、手元に置かれて…

『開かれ--人間と動物』ジョルジョ・アガンベン(平凡社)

→紀伊國屋書店で購入 「人類学的機械の産物」 うーん、うまいなぁ。出だしの三つの章で、一三世紀のヘブライ聖書の挿絵に描かれた天国で食事する聖人たち(動物の顔が描かれている)、動物の頭部をもつアルコンたちを描いたグノーシス派に衝撃をうけたバタイ…