書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2008-02-12から1日間の記事一覧

『汽車旅放浪記』関川夏央(新潮社)

→紀伊國屋書店で購入 「尾燈好きの少年」 昨年10月にさいたま市にオープンした鉄道博物館。連日、たいへんな賑わいだという。鉄道オタクがそれだけたくさんいるということだろう。 鉄道の世界は奧が深い。全国各地の鉄道を乗り回るだけが鉄道オタクではない…

『宮本輝全短篇』〈上〉〈下〉宮本輝(集英社)

→『宮本輝全短篇』〈上〉を購入 →『宮本輝全短篇』〈下〉を購入 「感情のリズム」 最近の若者は宮本輝を読むのかなあ、なんて思う。 もちろん「泥の河」や「蛍川」といった作品は高校の課題図書リストでも常連だろうが、宮本の短編作品を集成した今回の『宮…

『ハプスブルク帝国の情報メディア革命-近代郵便制度の誕生』菊池良生(集英社新書)

→紀伊國屋書店で購入 速く、速く、速く、昼も夜も一刻も失うことなく 慶應義塾大学でドイツ文化を研究している人が「文化史興隆への期待」という一文を草して、ドイツでなら文化史(Kulturgeschichte)、文化学(Kulturwissenschaft)とでも呼ばれる領域横断…

『フリーペーパーの衝撃』稲垣太郎(集英社新書)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 2007年11月29日、マニラでクーデターが起こった。そのとき、わたしは人口5万ほどのミンダナオ…