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プロの読み手による書評ブログ

2009-02-28から1日間の記事一覧

『5万年前』 ニコラス・ウェイド (イースト・プレス)

→紀伊國屋書店で購入 オッペンハイマーの『人類の足跡10万年全史』と同じく、アフリカを出た人類が世界に拡がっていったグレート・ジャーニーを描いた本であるが、同じ事実から出発しながら解釈がずいぶん違う。 まず「5万年前」という表題からわかるように…

『人類の足跡10万年全史』 スティーヴン・オッペンハイマー (草思社)

→紀伊國屋書店で購入 人類の起源の手がかりはかつては化石しかなかったが、今ではDNA解読と古気候学の進歩によって人類がどのように生まれ、どのように世界に広がっていったか、グレート・ジャーニーの道筋がほぼたどれるようになった。出アフリカをはたした…

『狩りをするサル』 クレイグ・スタンフォード (青土社)

→紀伊國屋書店で購入 『ヒトは食べられて進化した』は、初期人類は集団による狩りを通じて認知能力や言語を発達させたというヒト=狩人説を完膚なきまでにやっつけたが、否定する立場の本だけでは片手落ちなので、ヒト=狩人説をもうすこし知りたいと思った…

『未完のフィリピン革命と植民地化』早瀬晋三(山川出版社)

→紀伊國屋書店で購入 「著者のメッセージ」として、つぎのように書いた。「フィリピンは歴史的にアメリカの強い影響を受けながら、経済的に豊かにならず、政治的にも安定していない。アメリカがリードする時代であるなら、フィリピンはアメリカが理想とする…