書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

第13位『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』万城目学

→紀伊國屋書店で購入 (筑摩書房/903円) 小学校にあがったばかりのかのこちゃん。雷雨によって出会うマドレーヌ夫人と玄三郎。かのこちゃんのフンケーの友、すずちゃん。みんながみんな大切な人のことをおもう、考える。真剣に。やさしい気持ちとしずかな…

第14位『ピストルズ』阿部和重

→紀伊國屋書店で購入 (講談社/1,995円) わかりやすい狂気も、あからさまな暴力も、そこそこの混沌ももう飽きた!・・・・・とでも言うのか、阿部和重は淡々と、ですます調で、魔法を操る一族の奇想天外な歴史を語ります。静かに、端正に、丁寧に構築された、し…

第14位『メイスン&ディクスン』トマス・ピンチョン/柴田元幸・訳

→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 (新潮社/各3,780円) これはまさに今年の重大事件。ピンチョンの作品を現代の訳で読むことができるなんて。3,780円×2と時間を費やす以上の価値がここにはあると断言できます。ピンチョンって、そんなに難しくない…

第16位『地を這う祈り』石井光太

→紀伊國屋書店で購入 (徳間書店/1,680円) 知りたくなかった・・・見るんじゃなかった・・・ そう感じるほど衝撃的なむき出しの写真とエッセイ。だが同時にそこから目を背けさせない力もある。目を背けることが、無関心がこの現状を生み続けるのだと伝わり、響く…

第17位『星座から見た地球』福永信

→紀伊國屋書店で購入 (新潮社/1,575円) 美しい物語を読んだ。これは小説なのかなどと野暮なことを訊いてはいけない。何が言いたいのかわからないなどと些細なことを嘆いてもいけない。ただ書かれてある言葉の連なりに身をゆだねる。もっと深く潜っていく…

第18位『マリアビートル』伊坂幸太郎

→紀伊國屋書店で購入 (角川書店/1,680円) 元・殺し屋「木村」&狡猾な中学生「王子」、腕利きの二人組「蜜柑」&「檸檬」、ツキのない殺し屋「七尾」&彼と電話でつながる「真莉亜」、一つのトランクをめぐり、物騒な3組が北へ向かう東北新幹線を舞台に…

第19位『うんこ!』サトシン・文/西村敏雄・絵

→紀伊國屋書店で購入 (文渓堂/1,365円) 数えてみました。この絵本を読み聞かせすると「うんこ」18回、「くっそー」4回、「ふん」18回、「うん」を5回も声に出して言うことに(笑)。そこがお子様に大人気! くっさーいと言われてもなんのその! た…

第20位『悪の教典』貴志祐介

→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/各1,799円) 殺人鬼のハスミンに惚れてしまった。そんな自分がサイコパスなのではないかと心配になった。誰もが抱いている心の闇の部分を鋭くえぐる問題作。 〔京橋店・此川裕子〕 →紀伊國屋書店で購入

第21位『コミュニケーションするロボットは創れるか』谷口忠大

→紀伊國屋書店で購入 (NTT出版/2,730円) 「俺のいっている意味、本当に分かっているか?」「分かるわけないじゃない! あなたの頭の中を覗けるわけじゃないし!」その通りだ。ではいったい「コミュニケーション」とはどのように成り立つのか? 今話題…

第21位『日本辺境論』内田樹

→紀伊國屋書店で購入 (新潮社/777円) おもわず頷く。とにかく面白い。そうか、こういう見方/考え方があったのか。内容には賛否両論あるだろうし、必ずしも100%正しいわけじゃないだろうが、これほど説得力があって引き込まれる日本論は久しぶり。白眉。 …

第23位『異邦の香り』野崎歓

→紀伊國屋書店で購入 (講談社/2,940円) 異邦について書かれた文章を読む内、すっかりその地に魅了される。でもそんな土地はもう失われたも同然だという事実に最後で気づかされ、魅了から解き放たれた後、ハテ私は夢でも見てたのかな、と思わず周囲を見回…

第23位『さすらう者たち』イ-ユン・リ-/篠森ゆりこ・訳

→紀伊國屋書店で購入 (河出書房新社/2,310円) 戦争や革命のさなかにある市井の人々というと、イコール善良な人々、として描かれることが多いけれど、この小説はそのような綺麗事に唾を吐きかける。騙したり憎んだり、邪な心をもつ人々、そして食い物にさ…

第25位『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦

→紀伊國屋書店で購入 (角川書店/1,680円) よちよちペンギン! 小4の少年! 探検と地図づくりと夏休みと研究ノートと仲間たち、ジャイアン、歯医者の受付のおねえさん! この最強の組み合わせに、かわいいーと鼻息も荒く読み進んでいた私を、一気にセンチ…

第26位『おべんとうの時間』阿部了・写真/阿部直美・文

→紀伊國屋書店で購入 (木楽舎/1,470円) ふたを開けるようにぱっと開くと、左ページにおべんとう、右ページにそのおべんとうを食べる人の笑顔があります。形も中身も開ける場所も人それぞれ。おべんとうについて語れば、いつの間にかその人の生き方が語ら…

第27位『味写入門』天久聖一

→紀伊國屋書店で購入 (アスペクト/1,050円) 立派な一眼レフじゃなくても神がかり的な写真は撮れるのだっ!! プロの写真家には撮れない、セミプロだって撮れないであろう、絶妙な一枚を、捨てずにとっておいた(たまたまのこっていた・・・?)素晴らしきご…

第28位『漂砂のうたう』木内昇

→紀伊國屋書店で購入 (集英社/1,785円) なんてかっこいいんだろう! 小説やっぱりこうでなくちゃ! 時代に取り残された遊郭の華やかさとわびしさ、変わらずに在る人と変われずにいる人の迷いや息苦しさが行間から立ちのぼります。ああ、巧いなあ。古くか…

第29位『隻眼の少女』麻耶雄嵩

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/1,995円) 主役は、有能な美少女探偵と、秘密を抱える冴えない助手。探偵が有能なら、助手なんかいらないだろうって?――いいえ、確かに必要とされているのです。 何度も訪れる、「えええええ」と声が出てしまう瞬間。それら…

第30位『一週間』井上ひさし

→紀伊國屋書店で購入 (新潮社/1,995円) 昭和21年 ハバロフスク収容所に移送されてきた日本人捕虜小松修吉は、あることをきっかけに、たった一人で北の大国に立ち向かう。描かれる「一週間」のスリル溢れる出来事はフィクションでも、その「時代の背景」は…

『ピアノと向きあう』奥千絵子(春秋社)

→紀伊國屋書店で購入 「芸術的個性を育むために」 まさに「かゆいところに手が届く」本である。ピアノの演奏に習熟していく過程で生じるさまざまな課題のとらえ方と、それらを解決するための段取りがわかりやすくまとめられている。あとがきに著者自身がいみ…

ピクベス!2010ランキング発表

本日からスタートした「ピクベス!2010」フェア。 今回はランキング30の発表です! ナンバーワンはどの作品に輝くのか?! では、発表します。 ピクベス!2010ランキング 1位 『夢の遠近法 山尾悠子初期作品選』 山尾悠子 国書刊行会 2位 『半分のぼった黄…

番外編 ゼロ年代のベストコミック<br> 『ONE PIECE』尾田栄一郎(集英社)

→紀伊國屋書店で購入 子供も大好き、大人も大好き!! いわずと知れた大ヒットコミック。萌えアニメもいいと思うけど、アニメやマンガをそろそろ子どもにかえしてあげてほしい。友情・努力・勝利の王道少年まんが。まんがからおしえてもらうことだってたくさ…

番外編 ゼロ年代のベストコミック<br> 『よつばと!』あずまきよひこ(アスキ-・メディアワ-クス)

『よつばと!』あずまきよひこ(アスキ-・メディアワ-クス)" title="番外編 ゼロ年代のベストコミック 『よつばと!』あずまきよひこ(アスキ-・メディアワ-クス)" src="http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/4840224668.jpg" border="0" /> →紀伊…

番外編 ゼロ年代のベストコミック<br> 『宇宙兄弟』小山宙哉(講談社)

『宇宙兄弟』小山宙哉(講談社)" title="番外編 ゼロ年代のベストコミック 『宇宙兄弟』小山宙哉(講談社)" src="http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/4063726746.jpg" border="0" /> →紀伊國屋書店で購入 「夢は宇宙飛行士」 幼い頃にそう約束した兄…

番外編 ゼロ年代のベストコミック<br> 『鋼の錬金術師』荒川弘(スクウェア・エニックス)

『鋼の錬金術師』荒川弘(スクウェア・エニックス)" title="番外編 ゼロ年代のベストコミック 『鋼の錬金術師』荒川弘(スクウェア・エニックス)" src="http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/4757506201.jpg" border="0" /> →紀伊國屋書店で購入 喜び …

番外編 ゼロ年代のベストコミック<br> 『きのう何食べた?』よしながふみ(講談社)

『きのう何食べた?』よしながふみ(講談社)" title="番外編 ゼロ年代のベストコミック 『きのう何食べた?』よしながふみ(講談社)" src="http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/4063726487.jpg" border="0" /> →紀伊國屋書店で購入 ゼロ年代に良質な…

番外編 ゼロ年代のベストコミック<br> 『大阪ハムレット』森下裕美(双葉社)

『大阪ハムレット』森下裕美(双葉社)" title="番外編 ゼロ年代のベストコミック 『大阪ハムレット』森下裕美(双葉社)" src="http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/4575940100.jpg" border="0" /> →紀伊國屋書店で購入 子どもの世界ってどんなやった…

番外編 ゼロ年代のベストコミック<br> 『毎日かあさん』西原理恵子(毎日新聞社)

『毎日かあさん』西原理恵子(毎日新聞社)" title="番外編 ゼロ年代のベストコミック 『毎日かあさん』西原理恵子(毎日新聞社)" src="http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/462077054X.jpg" border="0" /> →紀伊國屋書店で購入 この10年でこれほど立…

番外編 ゼロ年代のベストコミック<br> 『虫と歌』市川春子(講談社)

『虫と歌』市川春子(講談社)" title="番外編 ゼロ年代のベストコミック 『虫と歌』市川春子(講談社)" src="http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/4063106179.jpg" border="0" /> →紀伊國屋書店で購入 なんと美しく、驚きに満ちた物語たちなんだろう…

番外編 ゼロ年代のベストコミック<br> 『プラネテス』幸村誠(講談社)

『プラネテス』幸村誠(講談社)" title="番外編 ゼロ年代のベストコミック 『プラネテス』幸村誠(講談社)" src="http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/4063287351.jpg" border="0" /> →紀伊國屋書店で購入 ありとあらゆる犠牲を払ってでも、世界中の…

番外編 ゼロ年代のベストコミック<br> 『7SEEDS』田村由美(小学館)

『7SEEDS』田村由美(小学館)" title="番外編 ゼロ年代のベストコミック 『7SEEDS』田村由美(小学館)" src="http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/4091380131.jpg" border="0" /> →紀伊國屋書店で購入 極限状態で生き残るのは善良な人で…