書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2011-05-30から1日間の記事一覧

『アスペルガー症候群』岡田尊司(幻冬舎新書)

→紀伊國屋書店で購入 「アスペルガー症候群は天才予備軍」 ある時、試験問題を作っていると、学校のスクールカウンセラーからメールが届いたことがあった。ある生徒の試験問題について、白い紙ではなく黄色い紙に問題をプリントして欲しいというものだった。…

『アルシテクスト序説』 ジェラール・ジュネット (書肆風の薔薇)

→紀伊國屋書店で購入 ジュネットのテクスト論三部作の最初の本で、アルシテクストとはテクストの原型というほどの意味である。ジュネットは文学テクストの原型がいくつあり、文学の場がどのように分割されるかを論じている。つまりはジャンル論ということに…

『ブスがなくなる日―「見た目格差」社会の女と男』山本 桂子(主婦の友社)

→紀伊國屋書店で購入 「驚くほどわかりやすい「ブス論」」 あまりに、ひねりがない書評のタイトルをつけてしまった。だが、それほどに本書の記述は明確で、その主張は分かりやすい。 ブスとは一体何か。 「常識」にしたがうならば、物理的に顔の造作の美しく…

『可視化された帝国-近代日本の行幸啓』原 武史(みすず書房)

→紀伊國屋書店で購入 「「想像の共同体」ではなく「可視化された帝国」」 「目からウロコが落ちる」という言葉があるが、私にとって、本書を読んだ時の感想もそれに近いものがあった。 本書の骨子は、ベネディクト・アンダーソン流の「想像の共同体」論を、…