書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2012-04-30から1日間の記事一覧

『書店ガール』碧野圭(PHP研究所)

→紀伊國屋書店で購入 「書店でアルバイトしよう」と、本気で考えたのは、前の会社を辞めた時でした。すぐさま知人に止められました。「自分の本の売れ行きをリアルタイムで見られる職場なんかやめとけ」というのです。冷静に考えればそのとおり。作家に面と…

『こびとづかん』なばたとしたか(長崎出版)

→紀伊國屋書店で購入 「「拡張現実」の時代の子ども向けファンタジー」 本作は、イラストレーターのなばたとしたか氏による、「きもかわいいこびと」たちの物語であり、すでにひそかなブームとなりつつある一連の「こびと」関連の著作の一作目にあたるもので…

『「世界征服」は可能か?』岡田斗司夫(ちくまプリマ―新書)

→紀伊國屋書店で購入 「「男子的野望」を転換させるための特効薬」 読後感が実に爽快な一冊である。期待以上の内容といってよい。当初は「?」のついた疑問形の書名が頼りなさげに感じられて仕方なかったのだが、まさに「どんでん返し」ともいえる結論を読ん…

『鉄道旅行の歴史―19世紀における空間と時間の工業化』ヴォルフガング・シベルブシュ著/加藤二郎訳(法政大学出版局)

→紀伊國屋書店で購入 「時空間感覚の変容を描きだした名著」 本書は、ドイツの歴史家ヴォルフガング・シヴェルブシュによる、もはや古典とも言うべき著作であるが、昨年末付けで新装版が刊行され、その内容に鑑みて、今日でも得るところの大きい著作としてこ…

『グラゼニ』原作:森高夕次  漫画:アダチケイジ(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 「“超二流”の野球マンガ」 ヤクルトや阪神、楽天などの監督を務めた野村克也氏が、著作の中でよく唱えている言葉がある。それは「超二流の選手になれ」というものだ。 いわく、イチローのように、全てに秀でた超一流選手になれるものは…

『股間若衆 男の裸は芸術か』木下直之(新潮社)

→紀伊國屋書店で購入 こかんわかしゅう。 まるで男色をテーマにした洒落本のタイトルのよう、と、副題には「男の裸は芸術か」。そう、これは男性裸体表現をめぐるいたって真面目な論考なのだった。 きっかけは、著者が赤羽駅前で発見した男性裸体彫刻である…