書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2012-06-30から1日間の記事一覧

『人文学と電子編集―デジタル・アーカイヴの理論と実践』 バーナード&オキーフ&アンスワース編 (慶應義塾大学出版会)

→紀伊國屋書店で購入 中西秀彦『学術出版の技術変遷論考』の終章では今後の印刷所の生きのびる方途として文書の構造化支援をあげていたが、多くの人は文書の構造化という言葉にはなじみがないかもしれない。なじみがないのは言葉だけで、実際は普通に目にし…

『東京バス散歩』白井いち恵(京阪神エルマガジン社)

→紀伊國屋書店で購入 京都という、平坦な碁盤の目状の町に長らくいた。移動手段はもっぱら自転車、バスを使うことはあっても、それは大抵、大通りをまっすぐに進み、一度だけ直角に曲がってさらにまっすぐ、はい到着! ただひたすら、「運ばれている」という…

『言葉を生きる』片岡義男(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 片岡義男は実に不思議な作家だ。言葉の操り出し方、思考の進め方に独特のスタンスがある。その視野の広がりといい、どこにも帰属しない孤高性といい、既存のジャンルにとらわれない書き方といい、ほかに例を見ない。 とはいうものの、最…

『「女子」の時代!』馬場伸彦/池田太臣 編著(青弓社)

→紀伊國屋書店で購入 「「女性学」から「女子学」へ」 大学、あるいはその他の教育機関でも同様だと思うが、「男子よりも女子の方が元気がいい」という傾向が顕著である。例えば、成績優秀者をリストアップすると、決まって上位は女子が独占するといった傾向…

『ヤリチン専門学校―ゼロ年代のモテ技術』尾谷 幸憲(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 「男性側から「性愛至上主義」の崩壊を描いたルポルタージュ」 本書は、かの「東スポ」こと「東京スポーツ」紙に連載された記事が元になったものであり、その点からも、半分以上は「ネタ」として差し引きつつながら、面白がって読み進め…