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プロの読み手による書評ブログ

2012-08-06から1日間の記事一覧

『季節の記憶』保坂和志(中公文庫)

→紀伊國屋書店で購入 「文盲小説」 保坂和志の文体は、吉田健一から教養のおもちゃ箱を取り上げたような感じで、読点ばかりが続いてなかなか句点に辿りつかない。同じ句点のお預けでも、野坂昭如のような粘りや速いピッチはなくて、意地もなく(意気地がない…

『茶の本 日本の目覚め 東洋の理想―岡倉天心コレクション』岡倉 天心(ちくま学芸文庫)

→紀伊國屋書店で購入 「これ、名著です」 西洋人は日本が平和な文芸に耽っていた間は、野蛮国と考えていたものである。ところが日本が満洲の戦場に大虐殺を行い始めてからは文明国と呼んでいる。(中略)もし文明ということが、血腥い戦争の栄誉に依存せねば…