書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

復刊候補一覧④ 《文学・芸術》

文学・芸術

76

岩波書店

近世文藝思潮攷

中村幸彦

初版1975・最終版1998年◆B6判◆408頁◆予価4725円(本体4500円)

時代に対応して変化する儒教思想の姿を捉えつつ、近世知識人の文学観を克明に分析。文芸思想にあらわれた近世文化の本質を描き出す。

77

岩波書店

山荘往来 野上豊一郎 野上弥生子往復書簡

宇田健 編

初版1995・最終版1995年◆四六判◆392頁◆予価3885円(本体3700円)

戦火に家を焼かれ、東京と山荘に別居しながら、戦争の終るのを待つしかない暗澹たる状況におかれた夫婦の往復書簡集。

78

岩波書店

中国文学史

吉川幸次郎 述/黒川洋一 編

初版1974・最終版2002年◆B6判◆418頁◆予価4410円(本体4200円)

中国文学はいかなる特色と価値を持つかという見地から、三千年の歴史と厖大な作品を有する中国文学の展開を、民族の精神の歴史として捉える。

79

岩波書店

日本語レトリックの体系 文体のなかにある表現技法のひろがり

中村明

初版1991・最終版1992年◆A5判◆460頁◆予価5670円(本体5400円)

表現技法の働きと効果を測ることで、名文の雰囲気を支える言語機構を解明することができる。日本語における文章表現をレトリックの観点から分析。

80

紀伊國屋書店

焔の文学 完本

モーリス・ブランショ/重信常喜、橋口守人

初版1958・最終版1997年◆四六判◆466頁◆予価5040円(本体4800円)

無と有、沈黙と言葉、死と生……。揺れ動く作家の魂を文学の〈焔〉のなかにこそ見出そうとする、フランス批評の孤峰ブランショ、珠玉の評論集。

81

紀伊國屋書店

幻想芸術

マルセル・ブリヨン坂崎乙郎

初版1968・最終版1992年◆A5判◆550頁◆予価6720円(本体6400円)

人間に根源的に内在する不安のイメージ、そのフォルムを体系的にまとめるとともに、古今の芸術と思考のなかで「幻想」が占める位置をたずねる。

82

紀伊國屋書店

告白と呪詛

シオラン出口裕弘

初版1994・最終版1994年◆四六判◆256頁◆予価2940円(本体2800円)

「生にはなんの意味もないという事実は、生きる理由の一つになる。唯一の理由にだってなる」――80歳を前に自ら最後の著作と決めた、シオランの到達点。

83

勁草書房

写真の哲学のために

V.フルッサー/深川雅文

初版1999・最終版2004年◆四六判◆200頁◆予価3150円(本体3000円)

脱産業社会/情報社会における「装置」と「人間」が作り出す新しい自由とは何か。ベンヤミンマクルーハンを超えるメディア=文明論。

84

勁草書房

ワルターベンヤミン

T.イーグルトン/今村仁司ほか訳

初版1988・最終版1989年◆四六判◆340頁◆予価4200円(本体4000円)

現代イギリスの文芸評論家、マルクス主義者である著者のベンヤミンの読解。型通りのものではありえなく、随所に卓見がきらめいている。

85

東京大学出版会

岡倉天心

宮川寅雄

初版1972・最終版1972年◆四六判◆268頁◆予価3360円(本体3200円)

天心岡倉覚三、この官僚界の偉材をとおすことなしには展開しなかった日本近代美術の苦悶とゆがみと成果を見事に描きだす。

86

白水社

なぜベケット

イノック・ブレイター/安達まみ訳

初版1990・最終版1995年◆A5判◆176頁◆予価3150円(本体3000円)

ベケット研究の第一人者が、その文学の諸問題をわかりやすく解説しながら生涯を辿る、簡潔にして緻密なベケット伝。122枚の貴重な写真を収録。

87

白水社

バーナード・ショー名作集

鳴海四郎ほか訳

初版1966・最終版1988年◆四六判◆644頁◆予価6930円(本体6600円)

「カンディダ」「悪魔の弟子」「人と超人」「ピグマリオン」「聖女ジョウン」「デモクラシー万歳!」を収録。《世紀の皮肉屋》ショーの喜劇集。

88

白水社

コクトー名作集

澁澤龍彥ほか訳

初版1979・最終版1983年◆四六判◆411頁◆予価4935円(本体4700円)

「オイディプース王」「オルフェ」「声」「円卓の騎士」「エッフェル塔の花婿花嫁」「怖るべき親たち」「バッカス」収録。《芸術的軽業師》の詩的幻想。

89

白水社

イプセン名作集

山室 静ほか訳

初版1956・最終版1981年◆四六判◆510頁◆予価6090円(本体5800円)

「野鴨」「人形の家」「建築師ソルネス」「幽霊」「小さいエヨルフ」「ヘッダ・ガブラー」収録。近代演劇運動の起点となったイプセンの真価を知る好個の一巻。

90

白水社

シューベルトの歌曲をたどって

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ/原田茂生訳

初版1976・最終版1998年◆四六判◆550頁◆予価7875円(本体7500円)

ドイツ歌曲の第一人者が、シューベルトの生涯、交友、恋愛、歌曲の成立、解説、後世作曲家への影響などを年代を追って綴る、卓抜なシューベルト読本。

91

法政大学出版局

考える/分類する 日常生活の社会学

ジョルジュ・ペレック阪上脩

初版2000・最終版2000年◆四六判◆150頁◆予価2100円(本体2000円)

収集―分類―整理という人間の社会-心理的素描を試みる考現学的考察を通じて、現代社会と人間の恐るべき変貌を描き出す。

92

法政大学出版局

山之口貘

仲程昌徳

初版1975・最終版1983年◆四六判◆328頁◆予価5775円(本体5500円)

未発表の初期詩篇から遺著『鮪に鰯』にいたる作品の軌跡を生活の軌跡と照らし合わせつつ、〈物への愛〉にみちた貘の詩的表現等の源泉をさぐる。

93

みすず書房

ジャコメッティ

矢内原伊作/宇佐見英治・武田昭彦編

初版1996・最終版2006年◆A5判◆362頁◆予価5040円(本体4800円)

20世紀最高の芸術家の仕事の日夜、脳髄、対話の貴重な記録。ジャコメッティのモデルをつとめたヤナイハラの名を不滅にした書。日記・手紙を付す。

94

みすず書房

クナッパーツブッシュ 音楽と政治

奧波一秀

初版2001・最終版2001年◆四六判◆236頁◆予価2940円(本体2800円)

ドイツ各地で徹底収集した厖大な史料に、緻密な検証を加える。分析の先に見えてくる大指揮者の真の姿とは。暗い時代との関わりを鋭く抉る意欲作。

95

みすず書房

この私、クラウディウス

ロバート・グレーヴズ/多田智満子・赤井敏夫

初版2001・最終版2001年◆四六判◆480頁◆予価4410円(本体4200円)

謎の多い実在のローマ第4代皇帝クラウディウス。病弱で吃音症、帝位など夢にも思わぬこの私が… 渦巻く陰謀、なみいる悪女たちの傑作歴史小説

96

未來社

ロシア・アヴァンギャルドと20世紀の美的革命

ヴィーリ・ミリマノフ/桑野隆訳

初版2001・最終版2001年◆A5判◆182頁◆予価2940円(本体2800円)

ナロード(民衆)による革命と美的革命の相克をめざした、20世紀ロシア・アヴァンギャルドを、 世界の美術史のなかに位置づける基本書。

97

未來社

ディートリッヒ自伝

マレーネ・ディートリッヒ/石井栄子、伊藤容子、中島弘子訳

初版1990・最終版1995年◆四六判◆350頁◆予価3360円(本体3200円)

嘆きの天使』『モロッコ』など不朽の名作を残し、今なお映画ファンを魅了しつづけている「世紀の女優」の知性あふるる本格的な自伝。