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プロの読み手による書評ブログ

『ワンダー植草・甚一ランド』植草甚一(晶文社)

ワンダー植草・甚一ランド

→紀伊國屋書店で購入

「私はジョギングと雑文が好き
 今何故再び、植草甚一なのか
 私は自分で解決しようとした」

羽田から志木行きのリムジンバスは22時20分発で、和光市行きは21時50分発なので、今21時49分なので後者を選び、その30分の差はかなり大きい。
伊丹からは着陸直前に起こされるまで座ったとたんに終始寝ていた。大阪行の新幹線では電源は取れなかったが、新横浜から千里中央、阪大病院前まで終始仕事が出来た。
要は、1日にすずかけ台飯田橋と大岡山と有楽町と和光で仕事があることに比べれば、大阪やソウルの日帰りの方が断然楽だという自慢話である。

***

午前3時起床、ペットボトルの水を飲み、すぐにメイル確認、3時3分から仕事を始める。

午前7時16分すずかけ台着、6時3分志木発に乗り、池袋と渋谷で走ればその時間に着く。なので5時39分の志木発に乗っても、24分仕事が長く出来るか、うたた寝出来るか、以外は同じであることが今朝分かった。

9時のゼミ開始前に複数の書類を仕上げメイルと学内便を出す。月曜は8時半からのゼミだが、朝から既に300通以上のSPAMが来ている。

ゼミは予定の1時間を過ぎ、1時間半になるが、1時間以上のミーティングは決して効率的とは言えないが、ゼミの時だけは、どんなにビューロクラティックなことに追われていても、時間が気にならない。いやはや、やはり何でも勉強は面白い。いやらしい奴だと思われても良い。少なくともこの歳になると勉強の時間が一番面白い。何でも面白い。

ゼミ後、新入生に簡単にガイダンス、スタッフに予算申請の説明。その間も電話とメイルは容赦ない。いやな話も面倒な話も山ほど来る。20年間、私は自分で解決しようとしたが、来るということ自体が今の自分の身分を表している。言われて何ぼの世界である。

すずかけ台発11時55分に乗らなければならず、秘書さんがエレベータを開けて待っててくれる。昼食時のエレベータはタラタラとした乗り降りの数秒の遅れが命取りになる。電車内もある意味座れないと命取りで仕事が出来ない。仕方がないから立ちながらコンピュータを抱えて仕事をする。

飯田橋の某東京本社で13時20分待ち合わせ、昼食はどこで取ったかすぐには思い出せない。確かに飯田橋を降りた時に10分位時間があると思った覚えがある。30分から会議開始、その前の10分間で韓国の件と来週月曜の会合の打合せを行う。

14時30分、丁度無駄な沈黙が訪れ「次がありまして」と中座する。先方の担当者があわてて出て来て名刺交換、名刺を切らしていたが、13時20分に持ってきてもらえるように朝指示して良かった。その担当者は事務員に玄関まで送るようにと指示。「内側からはカギは開いてますし、受付にIDカードを返して頂くだけですが」と、玄関まで送るようにという意味を理解していない。「いや、ここでいいですよ」と私が言うと、その担当者はその事務員に「エレベータのとこまででもお送りして」と言った。

これで大岡山まで行けば、16時からのミーティングに事前に30分はあるから、事務局に次のミーティングでは何をしたら良いか打合せが出来る。目黒を過ぎた頃、携帯に伝言。大岡山に着いたら、予算申請の事務に寄ってもらいたいとのこと。すぐに車内でコンピュータを開け、メイルをつなぎ15時30分に着くから、その事務の場所はどこかと尋ねる。大岡山に着いて電車を出て、秘書さんの携帯に電話、郵便を取りに行っているらしく、席に戻ってから場所を連絡するとのこと。それでは16時からの事前打ち合わせの時間がない。仕方がないので正門を入る頃に歩きながらコンピュータを開け、昔のメイル内容を確認する。事務棟2階だ。

事務棟2階について、担当者の席に来たら、秘書さんから電話が来た。逆にせかして申訳なかった。

その後、国際室の会合、留学生課の担当者と打合せをするも16時までの10分以内にある審議必要事項をタイプしてもらいたいと言う。聞いていないが、ありがちである。すぐにタイプしUSBメモリで渡す。するとワードのバージョンが会わないのでプリントできない。ならばpdfと、すでに会議メンバーは集っている。

私が主査なので、分かっていても分かっていなくても議事進行を務める。分かっていなくても、議事進行を進めればそれとなく分かり始める。会議終了、携帯を見ると伝言が来ている、メイルは見ない方が良い。見ても落胆するだけである。

大岡山の駅に向い、携帯で指示をする。

大岡山から地下鉄に乗り、携帯のカウントダウンタイマーを12分にセットするが、10分で起きてしまう。目黒で三田線に乗り換える時に有楽町の事務所に電話し、30分以内に着くと伝言。今日はその10分の仮眠でかなり復活した。

午後9時に終り、それから少し飲みに行かないかということで、少しお腹に何か入れておかないとと参加する。和光に戻らねばという気持ちが酔いを回さない。

あくる日、自宅で駐車場のリフトを上に上げたら、朝からあると信じて予定を調整していた車がない。また、和光において来たことを思い出すいつものパターンであるが、子供をピックアップする約束で、和光までの30分をどう捻出するか思いを巡らす。

***

今までも何度となく書いて来ましたが、もし神様なるものがいて、人それぞれの運命を見守っているとしたら、私の神様は非常に厳しい。

少しでも気を抜くと、究極の無理難題が課せられ、思考を破綻に導かれ、それでも平然を装うパワーが要求される。

一瞬気を抜くと、私は脈絡のない、とんでもない事を考えている。

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今何故再び、植草甚一なのか、と本を買い

小さい文字を読みながら、思いを巡らす

少なくとも散歩等出来ない私は、堅気(かたぎ)な仕事をしながら、今何故再び、散歩と雑学が好きな植草甚一なのか

ジャニス・ジョプリンの死とロックの未来なのか

日本人は働き過ぎなのか、という新聞記事があって

再び全くナンセンスである

全く働き過ぎではないし、全く国際的でもない

国際社会は強烈に働く

そして平然を装っている、いや、身に付いて平然でいる

働き過ぎなのかなどと議論しているのは発展途上国というより国際後進国である

通りすがりに急がしそうにインタビューを受ける政治家

分刻みでありながら平然とインタビューを受ける政治家

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その人の、立ち位置、距離感、歩き方、表情、仕草、に「うだつ」が観えるとは今までも何度となく書いて来ましたが、要は自分だけではなく、何れにしても、そういうどちらかの人が身近にいると、自分の「引き」を良くも悪くも変える、という事でもある

そういう事にうとく、そういう人の身近にいるのは、良くも悪くも、自分の責任でもある

それでも私は自分で解決しようとしてきたつもりではある

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毎日山ほどの雑文を書き、捨てる

そうこう書く内に羽田からのバスは和光市に着いた

1時間の予定が50分で着いた

その10分の差はかなり大きい

バス停からプラットフォームの時刻表示が見える

電波時計を見ながら、43分の急行は乗れないにしても、45分の各駅には乗れると思い、その2分でも気を休めることにした


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