『原点 勝ち続ける組織作り』原 辰徳(中央公論新社)
「世の中は、スポーツとは違い、実力主義ではない
こうして半年が過ぎ、私は朽ちて堕ちて行く
真実を伝えたところで、この世は成り立たず
私はこうして死んで行く」
私への論評は私の糧(かて)にはなるが、それでも、真実を伝えられないことのa little helpにもならない。朝4時、南に見える富士のはるかむこうの空を見上げては、そこから23:30か25:00かまでの間で、私の頭からそのことが離れる時間はない。1日18時間以上、そのことだけを考える。この何ヶ月かは夢でも考えているので、睡魔で覚醒する数時間以外は、全てそのことを考えている。
移動中、何冊ものビジネス書を読む。本来であれば、何冊もの書評が書けるはずであるが、いつも散文から数ヶ月が経つ。
移動中、何冊もの「リーダーシップ」の本を読む。何冊もの「やる気」の本を読む。何冊もの「整理」の本を読む。何冊もの「時間の使い方」の本を読む。素晴しいし、分かるし、ところが、少なくとも、私にとっては、読む、素晴しい、分かる、でしかなく、以前の般若心経と同じことで、私の生活は何も改善されないし、そのことから開放される分けでもない。
移動中、少し休む。この10分か15分の仮眠が私を支える。でも、食事の時間はないから、食べない。食べる気もしないから、食べない。ただそれだけのことで、食べない。それがどういう意味か、ただそれだけのこと。
そして私は朽ちて堕ちて行く。
世の中は、スポーツとは違い、実力主義ではない。
「ほとんどの選手が球団から解雇を告げられる」
その時の人の判断が正しいかどうかも分からない。
「人間性がしっかりしていない限り、仕事は上手く行かない」
人間性がしっかりしているかいないかも分からず、仕事が上手く行っているかいないかも分からず、私は渋谷のスクランブル交差点の真ん中で、走馬灯のような人の流れを見る。私は既にこの世にはいない。
再建に向けて、原監督は言う。
1)100%は伝えず、監督は何を考えているのかなあと思わせる少しの我慢:とにかく選手がいない。勝つことが目的なのに、くだらない話ばかりに時間を費やすという問題点の解決。
2)規律を正す、ドレスコードの徹底:内容で勝負するという当たり前のことに対する甘え。
3)勝ちたいという気持ちが強くなり過ぎてもいけない:プロとして魅了するプレーに徹してもらう。プロがどういうものか分からない者は論外。
4)思い切ってチームを変える勇気:サッカーの岡田監督も負けが続いたからこそ、そう決断するところがあったのだろう。
去年の丁度今頃、またこれ以上に耐えられないことが起きていたと思うが、これ以上耐えられないことは、毎年更新されて行く。こうして半年と半年で1年が過ぎ、唯一の救いは、移動中、私が重大なそのことをかかえていることを誰も全く何も知らないということ。世の中は全く関係なく、私の話など、どうでも良いということ。それが唯一の救い。
再建に向けて、原監督は言う。
人生は他動的であり、どんな出来事が起ころうと、良い方に解釈すれば自分の肥やしになり、否定したり悪口を言ったところで自分には何も残らない。
何があるにしても、非があるのは自分。
その通りである。
プロとアマの違いはカッティングに濁りがないこと
よけいな音を上手くミュート出来るか否かにある
それに辿り着けないならば、私自身も本当はいらない
私はこのまま死んで行くだろうが、真実は絶対に明かさない
カッティングに濁りがあるにしても、それがせめてもの弔い