吉田豪 エッセイ
新宿といって真っ先に思い出すのはメジャーデビュー前のSIONなんですよね。新宿西口ガード下(現・さくらや新宿西口駅前店の辺り)にあったミリタリー&ロック・ショップの店員で、新宿の路上で酔っ払ってよく野宿して、自主盤『新宿の片隅から』が紀伊國屋内テイトムセンのインディーズチャートで1位になったりとかした頃の。だから高校時代、ボクもSIONがバイトしてた店でモッズパーカーとか買ったり、新宿の路上で野宿したり、テイトムセンで自主盤を買ったり、その帰りになぜか芸能事務所にスカウトされかかったり(おそらくインチキ)していたわけです。
現在、新宿はおそらく、日本でいちばん好きな街です。歌舞伎町が浄化されすぎて寂れつつあるのがネックなぐらいで。文化レベルが程良いんですよね。サブカルすぎず、お洒落すぎず、枯れすぎずで。よっぽどウンザリすることでもない限り、この街に住み続けたいといまは思ってます。
吉田豪 (よしだ・ごう)
1970年、東京生まれ。プロ書評家&インタビュアーにして、現在、雑誌・新聞などでの連載数が20を超えるスーパーライター。著書に『吉田豪のセメント!! スーパースター列伝 パート1 』(エンターブレイン)、『元アイドル!』(新潮社)、『人間コク宝』(コアマガジン)、『男気万字固め』(幻冬舎)など。また、TBSラジオ『ストリーム』(月曜14時~)にレギュラー出演。
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