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プロの読み手による書評ブログ

第2位 『東京タワー』リリー・フランキー

東京タワー

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(扶桑社/1,575円/4594049664)

 何の為に生きるのか?愛する為に生きている。どこにでもいるフツーのオカンの話です。誰よりも、自分よりも子を愛し、守り、育てる母という存在。ああ、根っこの話だなあ、読み終わってそう思いました。大人になっても、どこにいても何をしていても自分を支えてくれる根っこの部分はきっと子供の頃に作られる。後半はただただ号泣でした。


【平野千恵子・新宿本店】

 読んだ後、深夜2時だったにも関わらず、離れて暮らす「オカン」に電話してしまいました。熟睡中を無理やり起こしてしまい、随分うっとうしがられましたが、機嫌の悪いその声さえも「ずっと聞いていたい声」に感じました。いつか必ず、聞けなくなる時が来るから。そのこと、その時をこんなにも正直に丁寧に描いているこの小説は、普段「オカン」をなんとなく面倒くさいと思っている人にこそ読んで欲しい。涙で何も言い訳出来なくなります。そして、寝ている「オカン」を起こさずにはいられなくなるはずです。

【萩本愛子・本町店】

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