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第6位『人質の朗読会』小川洋子

第6位『人質の朗読会』小川洋子

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中央公論新社/1,470円)

昨年2月に刊行された小説だが、震災後の心にそっと寄り添ってくれる一冊だった。遠く地球の裏側で囚われた人々が、それぞれの記憶を語る。ささやかだけれど確固とした、時に美しい営みの証を。どんな人の内側にも物語は隠れていて、人質たちにとっても、命を諦めず生を繋ぎとめる縁となったはずだ。小川さんは、そんな各々が持つ小さな物語の力を知っている。だから例えようもない大きな出来事のあとでも、この小説はびくともしない。そのままの価値できらめいている。そして囁く。日々紡ぐ物語は私達の宝だ。祈りだ。ここにいること、そのものである、と。

〔新宿本店・今井麻夕美〕

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