『2020年の日本人』松谷明彦(日本経済新聞社)
「猪突猛進の戦争経済体制がやっと終わる。」
人口減少減少時代をどう生きるか。
日本は、世界最高速度で、高齢化が進行しており、なおかつ少子化も進んでいる。この不況で若者の就職内定率は下落しているので、経済的な不安を理由に結婚して子供をつくることを先送りする人も増えそうだ。自殺は年間3万人をキープ。自殺大国としての国際的な知名度も定着してしまった。
僕が東京に住んでいたとき、人口減少はリアルに感じなかった。子供をみかけない。独身の男女が多い、という東京の特殊性はあるものの、日本全体を俯瞰して考えることはなかったと思う。
浜松に移住して、人口減少がひたひたと実感されるようになった。静岡県で若者が多いのは静岡市と浜松市くらい。仕事が多い地域である。それ以外の地域は軒並み高齢化が進行している。当然、子供もすくない。去年の夏、伊豆半島に行ったときは、かなりの過疎が進行していることがわかった。浜松市の北部の天竜区も過疎が進行している。
駅前商店街はどうか。浜松駅前の商店街は、人が歩いていない。がらーんとしている。シャッターを閉めて営業をやめた店舗が多い。
駅前の賑わいは消え、中山間地は過疎で集落が消えつつある。人々は自動車に乗って、イオン、ファミリーレストラン、ガソリンスタンドというわかりきった移動パターンの中で暮らしている。
日曜日になると、酔っぱらい運転のような自動車をみかける。車内をみると、高齢者のドライバーが、よろよろとハンドルを握っている。老眼なのだろう。条件反射も衰えているのだろう。しかし、浜松には公共交通機関は発達していない。浜松の人間はめったなことでは歩かない! 文句があるか。ほかに移動の方法はないのだ!
これでも浜松は地方都市の中ではにぎわっている方だ。
他の地域はどうなっているのだろう。そしてこれから10年、20年後、日本の超高齢社会はどうなっているのだろう。人類の歴史のなかで、空前のスケールで展開される超高齢、超少子社会。しかも、日本は島国であり、一貫して移民を拒否してきた。ほかの先進国では移民によって、人口増加と経済発展させるという選をしてきた。日本は頑固なほどにその選択はしなかった。
事実上の、鎖国状態のなかで、高齢者が激増し、労働者人口が減少していく。それが誰の目にも明らかになるのが、2020年前後である、と本書は説く。
本書を読みながらtwiterでつぶやいたことを時系列で並べみた。一部加筆してわかりやすくした。
# 「2020年の日本人」松谷明彦著。高齢化と人口減少、都市と地方の格差、総合的に分析されていておもしろい。日本の働く高齢者の多さは異常なほどという国際比較など勉強になる。第二次世界大戦の戦争経済でできた年功序列の体制がいまも残っている、ということも分かった。 2:01 PM Mar 6th via HootSuite
一括採用、年功序列とは、戦争中という特殊な政治体制でできた制度だった。僕はこの事実をまったく知らなかった。いまの若者もほとんど知らないのではないか。
# これから10年で地方自治体の財政破綻が顕在化していくので、将来性のある自治体への転居・移動が増加する。独身世帯は都市集中。家族世帯は中規模都市。過疎地域については、農林業による地産地消直販の高度化で対応か。トリックスターの役回りを演じさせられるのは移民だろう。 3:08 PM Mar 6th via HootSuite
人口が減少すれば、経済が縮小し、税収もダウンする。自治体破産から逃げ出す国内移住者が出てくる。
# 2020年を境に、だいたいの産業転換、世代交代が終わると理解。そのころには、東京エリアは独居高齢者過密都市となり大増税となる。若い人は東海道などの交通便利な地方都市への移住をはじめると予測。それまでに東海道のネットワークをつくっておくとベストか。 2:41 AM Mar 7th via HootSuite
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東京、名古屋、大阪という高齢者集中都市における社会保障費の急激な増大。これにたいする税負担。住環境の悪化から、子供をもつ世帯がどういう形であれ、脱 3大都市をしていく流れができることは確実。となると、新幹線がとまる東海道がその避難先になるのかな。ずっと考えるべきテーマ。 12:40 PM Mar 7th via HootSuite
あまりにも悲惨なシナリオが続くので、少しでも希望があるとしたら、東海道ではないかと考えた。本書では、これからは地域の中小企業の「ものづくり」が地域経済の核になる、という見通しを立てる。ハイテク産業では優秀な若者しか働けない。多様な雇用はつくれない。サービス業は他地域に移動できない。ヒト・モノ・カネが動くのはモノづくりである、という指摘。グローバル企業はどうか。高収益をもとめて製造拠点を変えていくから、当てにはならない。
# 日本の近未来ひじょうに危機的ということになる。社会起業が拡大しないとまずい。2020年頃にはアジアも高齢・成熟社会になるので日本の下請けとはならない。日本は高齢者大国として孤立するシナリオが考えられる。 5:01 AM Mar 7th via HootSuite
2020年頃には、日本以外のアジア諸国も高齢化問題に直面。その頃には、日本を頼りにしなくてもよいレベルの成熟産業が自国で育っている。日本が貿易大国として成功するチャンスは相対的に減少していく。
都心居住組と、地方中核都市居住組。前者だと、高齢者の介護施設をつくりたくてもつくれない。都市の過密性ゆえに。よって、要介護老人を抱える家族は脱都心を転居を考えるようになる。地方都市ならば、自動車で30分圏内に施設はみつかる。問題は介護労働者の確保。12:44 PM Mar 7th via HootSuite
首都圏の高齢者人口の激増。これが何度も本書で言及されています。いま首都圏は独身の若者、子供のいないカップルにとって、好きな仕事が選べる快適な場所ではありますが、これから10年で激増する高齢者負担をすることになり増税しかない、というシナリオ。
日本は人口が多い大国のひとつ。インド、中国はスーパー人口大国だが、日本は十分に人口大国。自国内での介護労働者の確保ができないのは、純粋に内政問題。介護労働者の確保は先進国にとって共通の課題。外国人の介護労働者をめぐる争奪戦がはじまっている。食料のような戦略的な資源になっている。12:46 PM Mar 7th via HootSuite
外国人の介護労働者をめぐる争奪戦については、人材派遣業に詳しい経営者から聞いた話。日本は豊かで平和だから、外国人が住みたくなるのではないか、という期待は修正しないといけない。
# もともと高付加価値、高利益率のビジネスを遂行できる人たちはどの国でも少ない。そういうビジネスを目指すよりも、地元の中付加価値ビジネスに着眼することのほうが現実的。どのビジネスも供給過剰、薄利多売、横ならびの発想のために、自縄自縛になっているけど方法はあると思う。 12:49 PM Mar 7th via HootSuite
日本経済が発展したのは、先進国になった1970年代になっても、途上国のような薄利多売のビジネスモデルを続けたから。だから、欧米先進国で日本製品は破竹の快進撃ができた。しかし、日本国内のサラリーマンは全体的に低賃金だった。得をしたのは高品質で低価格(お買い得)な日本製品を購入した海外の消費者。国際比較すると日本人は、低賃金、長時間労働という、戦時下の特殊な経済体制のなかにいた。プロジェクトXとは、そのような経済体制のなかでの男たちのドラマだったのだ。
そして、年寄りが増えて、人口ががくんと減ったとき、ようやく、やっと、ついに、とういう、無理に無理を重ねた、日本の戦争経済体制が止まるのだ。