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『内臓のはたらきと子どものこころ』三木成夫(築地書館)

内臓のはたらきと子どものこころ

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「ハラワタ」から子どものこころを考えるということをしてみた人がいる、というのに惹かれて。

子どもの生活リズムを考えるとき、必ずしも外部環境だけを考えるべきではない、そこには「内部環境」も要因として現れているということを忘れてはならない、ということ。内部環境とは、つまり、内臓の感受性であるということ。なんと、内臓の、感受性とは!



内臓にも一年を通してリズムがあるという。子どもの様子をその内蔵から推し量ることが果たして出来るのなら、ひとり一人の内臓から考えたなら、ひきこもりや不登校のこどもたちの理解が違う形で進むかも知れないと思った。

それはもしかすると、個々の体調の問題かもしれないのだ。朝起きて夜はちゃんと寝る。三食バランス良く食べる。ということが美しいとされている現在、何かもやもやして生きづらさを抱える子どもは、内臓感覚の違いの自覚症状の無いまま、生活習慣として早寝早起き、朝ご飯で体内リズムを修正をさせられ、成長していくのであれば、それはもう、不幸である。

大変古い講演録であるけれど、新しいアプローチ。自然界における「こども」「人間」の存在をつくづく考えさせられた。人間も、自然の一部であること。歴史の一部であること。