『親の品格』坂東眞理子(PHP新書)
「いい親になりたいと素直に言おう。」
実は、「いい親」なんて気恥ずかしくてなりたくないし呼ばれたくなかった。
(いや、あなたはいい親だとは、けして呼ばれないんだけれども)
でも、シンプルに考えてみると
日々、いい親でありたい、自分は果たしていい親であるだろうか?ということは考えているものだ。
私は、親歴一桁。
まだまだ。
だから、坂東さんに姿勢を正してもらうことは、やはり必要なのだ。
「女性の品格」といい、坂東さんのおっしゃることは
何につけ、「ごもっとも」のことなので、
もしかしたら「だから何?」と斜に構える人もいるかもしれないけれど
それこそ、品格を疑われるのである。
今年は恥ずかしがらずに、素直な気持ちで、丁寧に「親」としての自分に向かい合いたい。
こういうことは、素直にうけとめて、まずは実践してみることだと思う。
実践してナンボ、の世界だ。
坂東さんが歩んでこられた道のりはすざましいものだ。その中で得られたことが品格としてにじみでている方だとしみじみ思う。これからの時代に、私たちに、真正面からきちんと語りかけてくださるその覚悟に感謝するばかり。
これからは、だめなものはだめ、いいものはいいとはっきり教えてくれる人が身近にいるありがたさを、かみしめる時代になる。見て見ぬフリや、思考停止の時代はもう終わりがきている。多様性を受け入れつつ、各人が自立し、、自律できる社会はきっと来るし、そんな社会を目指したい。
けばけばしいネオンを消して、やかましい音楽をとめて、静かに夜空を見上げたときに、遠く白く光る星。余計なものをそぎ落としてはじめて気づくことができる。坂東さんがおっしゃっていることは、そんなイメージ。けっして目新しいことではない。けれど、忘れていたこと、わかっているようで、できていなかったことを気づかせてくれる、そんな一冊だ。
坂東さんは「社会的DNA」と名付けておられるけれど、まさに、坂東さんからの社会的DNAを、受け取り、新年にいいスタートを切らなければ!!
坂東さんは男女共同参画の時代を切り開いたさきがけであり、私にとっては、スターのような方だ。
文字だけで追ってしまうと華やかなプロフィールも、謙虚に、人との縁を大事にされてきた坂東さんだからこそのものだと納得できるし、その苦労もしのばれる。
著書でひけらかすこともせず、しかし、体得したことを惜しみなく伝えてくれるその姿勢こそ、「品格」ある生き方そのものだ。
坂東さんの著書がベストセラーになったことで、坂東さんの講演や、そのお人柄に触れるチャンスも大きくひらかれた。著書を手にとることはもちろん、ぜひ実際にお話を聞かれることもお勧めする。
人を育てるということは自分を育てること。育ててもらった自分を振り返ることで、次世代をも育てる立場になっていく。親の品格をを学ぶつもりが、もう一度、子としての自分を省みることにもなった。
昨年逝った父のことを、考えたり思い出したりする時間を与えられたのかなと思う。