『霧のむこうのふしぎな町』柏葉幸子(講談社)
「心がやわらかいうちに。」
夏休みも佳境にはいり、子どもたちの宿題がちょっぴり気にかかるようになった今日この頃。本屋さんの児童書コーナーにも、あきらかに読書感想文狙いの親子が出没している。
(あぁ、あれこれ推薦したい)
新たな目で子どもと本を探していると、眼に留まったのが本書。わぁ、なつかしい、と思って手に取ると、挿絵が違う。
挿絵が竹川功三郎さんから杉田比呂美さんに変わっていた。
そうか、今の子どもたちはこの絵のイメージで記憶されていくんだな・・・とちょっと不思議な感覚ももちつつ、私の大推薦で子どもが購入。
私と息子ののやりとりを、横でちろちろ気にして、耳がダンボになっているお母さんあり。
(あぁ、あれこれ推薦したい)
もっともっと、本選びが「苦痛」でなくなるといいのにな。
子どもが大きくなってくると、親とは別の世界をつくっていく。
その一歩を大きくささえてくれるような存在の一冊。
私が繰り返し読んだそのわけは、きっと、
親や地域という自分をわかってくれる狭い世界から”霧のむこう”へ一人で踏み出していく、
その勇気をくれた本だからだと気がついた。
こころがやわらかい、今のうちに、出会って欲しい。
自分が変化することを恐れないこと、変化を認められること。
取り返しがつかないわけではないだろうけれど、
やはり大人になってから出会っても遅い本ってあるな。
子どもたちの小さな冒険を支えてくれる、こんな本との出会いが
もっともっと日本中でおこりますように。