『データベースの設計 』ティオリー,トビー・J.(勁草書房)
ITエンジニアには1つの経験則がある。すなわち、「データベースエンジニアはネットワークが嫌いで、ネットワークエンジニアはデータベースが大嫌いだ」というものである。かくいう筆者もデータベースとはできればお付き合いしたくないのであるが、そもそもエンタープライズシステムというものは、ネットワークとデータベースが適切に連携してはじめて満足に機能するものであり、エンジニアとしての自分を差別化したければ広範囲にわたる学識が必要不可欠になる。
豊かな教養が一朝一夕で身に付くわけもないが、データベースの基礎理論だけは本書で学んでしまおう。内容は決して簡単ではないが、訳書としては読みやすい文体で好感が持てる。翻訳の原田氏が執筆している「データベース構築の理論と実際」(コロナ社)もよい。さらにデータベースを深く知りたくなったら、RDBの生みの親Coddの論文をお薦めする。ネットワークの真髄を知るには、ネットワークの本だけを読んでいては駄目だということがよく分かる1冊。