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『欺術—史上最強のハッカーが明かす禁断の技法 』ミトニック,ケビン/サイモン,ウィリアム(ソフトバンクパブリッシング)

欺術—史上最強のハッカーが明かす禁断の技法

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比較的新しい書籍で、しかもかなり売れたので、ここで敢えて紹介する必要はないのかも知れない。しかし、「おれおれ詐欺」(最近の手口と実態に齟齬が生じてしまったので、警察庁は名称を変更するようだ)などが相変わらずはびこっているので、セキュリティ担当者必携の1冊として挙げておく。

 クラッキングというと、どうしてもIT技術を駆使してシステムに侵入するイメージが強いが、実際には人の盲点や弱点に付け込んで情報や金銭を得る事例が多い。自分をクラッカの立場に据えてみれば分かるが、その方が圧倒的に楽である。「なんでそんな手口に引っかかるの?」と他人事に構えている人が一番あぶないので、本書を事例集として活用してみるとよい。ただし、これはあくまでベストプラクティスであり、実際に自分の身をどう守ろうか、という点は自分で考える必要がある。基本は「自分以外の全員を疑え」という発想なのだが、相当ぎすぎすした世の中になりそうである。

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