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『NPMによる行政革命—経営改革モデルの構築と実践 』大住 荘四郎(日本評論社)

NPMによる行政革命—経営改革モデルの構築と実践

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「せっかくITを導入したのに、いまひとつ効果のほどが分からない」と悩んでいる人はすごく多い。大抵の企業の社長さんはそう考えているし、官僚も同様だ。これから増税が始まると言われている時期に、延べ何兆円も突っ込んできた行政システム投資がどれだけ効果を生んでいるか分からないと言われたら納税意欲がなくなるが、それが現実である。

この原因は主に、手作業で行われている業務の手順をそっくりそのままIT化したことに求められると指摘されている。道具が変われば仕事のやり方も変わるはずなのだが、民間も行政もうまく対処できてないのである。本書はどういう方法論を用いたらこの問題を解決に導けるかについて、貴重な示唆を与えてくれる。タイトルにNPMとあるので、行政に特化した話題が扱われている印象を受けるが(実際そうなのだが)、民間企業で業務に従事されている方にも十分役に立つ内容である。組織を問わず、やるべきことの本質は変わらない。

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