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ジンピクフェア 第3週経過!

 こんばんは。ピクウィック・クラブです。

 只今開催中の人文書宣言×ピクウィック・クラブフェア、通称ジンピクフェアも第三週目に突入いたしました。さっそく作家紹介に移りたいと思いますが今回はその前に重大発表があります。

ジンピクフェア、会期延長! 7月末まで

 当初ひと月半を予定していましたジンピクフェアですが、丸二ヶ月の開催とあいなりました。ブンパクに並ぶ長期開催フェアに成長いたしまして、これもひとえに皆様のフォローのおかげです。ありがとうございます!

 ジンピクフェアは紀伊國屋書店新宿本店5階人文書売場にて、7月末までの開催です。

 終了までまだ余裕がありますが、なかなか一度では見切れないラインナップとなっています。どうぞお早めに、是非幾度となく、ご来店をお待ちしております。

第三回 作家紹介

 それでは作家紹介です。ジンピクフェアでは文学を代表する12人の作家を選び、その著作から演繹して設けたキーワードに沿った人文書などを同列に紹介しています。今回はその12人のなかからふたりの日本人、村上春樹宮沢賢治の登場です。

村上春樹(1949〜)

「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」すべてはこの一文から始まった。日常の可能性を書き続けている作家であり、現代社会の抱える問題を結論づけるのではなく、あくまでも象徴として問いかける。好むと好まざるとに関わらず。

>>>著作より

  村上春樹『風の歌を聴け』講談社

  村上春樹,柴田元幸『翻訳夜話2 サリンジャ-戦記』文藝春秋

>>>キーワード〝象徴というメッセージ〟より

  ベルナール・スティグレール『象徴の貧困〈1〉』新評論

  ジョージ・オーウェル『一九八四年』早川書房

>>>キーワード〝日常を開拓〟より

  エリアス・カネッティ『マラケシュの声-ある旅のあとの断想』法政大学出版局

  ピエール・ロティ『倦怠の華』水声社

>>>キーワード〝第二次世界大戦〟より

  レナ・K.ゲリッセン『レナの約束』中央公論新社

  加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』朝日出版社

>>>キーワード〝喪失の先〟より

  エリック・マコーマック『ミステリウム』国書刊行会

  セーレン・キェルケゴール『死に至る病』岩波書店

>>>キーワード〝酒とその空間〟より

  スチュアート・リヴァンス『ウイスキー・ドリームーアイラ島のシングルモルトに賭けた男たち』白水社

  植草甚一『マイルスとコルトレーンの日々』晶文社

宮沢賢治(1896〜1933)

 童話作家、詩人であるが、農学校の教師であったことを忘れてはいけない。羅須地人の会を設立し、農業に関する知識に留まらず美術や音楽を愛する心のゆとりを持てと教えた。先駆けとなって農民の生活と立場の向上を図り、自然と人間との共存を訴え続けた。

>>>著作より

  宮沢賢治『宮沢賢治全集〈1〉』筑摩書房

  宮沢賢治『宮沢賢治全集〈7〉』筑摩書房

>>>キーワード〝鉱物〟より

  ゲーテ『ゲ-テ地質学論集・鉱物篇』筑摩書房

  山尾悠子『歪み真珠』国書刊行会

>>>キーワード〝言葉の魅力〟より

  池内紀『ことばの哲学 関口存男のこと』青土社

  レーモン・クノー『あなたまかせのお話』国書刊行会

>>>キーワード〝東北における民俗学〟より

  柳田国男『遠野物語・山の人生』岩波書店

  赤坂憲雄『東北学/忘れられた東北』講談社

>>>キーワード〝物語る力〟より

  ツヴェタン・トドロフ『文学が脅かされている』法政大学出版局

  サルマン・ラシュディ『ハルーンとお話の海』国書刊行会

>>>キーワード〝イーハトーブ〟より

  大角修『イーハトーブ悪人列伝 宮沢賢治童話のおかしなやつら』勉誠出版

  天沢退二郎ほか『宮澤賢治イーハトヴ学事典』弘文堂

 以上、今回の作家紹介でした。もちろん上記掲載しましたキーワード別の書籍はごく一部、各作家の著作も合わせて売場で大々的に展開しています。

 またそれぞれのキーワードについて、どのように考えて付けられ、関連書籍を選ぶ基準となったのかの解説を、ピクウィック・クラブのtwitterで毎日公開しています。本の内容に直接関係するものではありませんが、フェアを楽しむ一環として、是非twitterも覗いてみてください。ブログ右上のリンクからアクセスお待ちしています!

 それでは、また次週。