書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2007-01-31から1日間の記事一覧

『歌うネアンデルタール』 スティーヴン・ミズン (早川書房)

→紀伊國屋書店で購入 認知考古学の視点から音楽と言語の起源に切りこんだ画期的的な本である。ルソーは『言語起源論』で「最初の言語は、単純で、方法的である前に歌うような情熱のこもったものだった」とし、言語と音楽は同じ起源から生まれたと述べている…

『心の先史時代』 スティーヴン・ミズン (青土社)

→紀伊國屋書店で購入 考古学の立場から人類の心の進化に切りこんだ本である。 考古学というと物証絶対主義の学問という印象があるが、1990年代から出土物を通じて先史時代人の知的能力や世界観、認知枠の問題をあつかう認知考古学が勃興した。原著は1996年に…

『心・脳・科学』ジョン・サール(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「サールの古典的な議論」 本書はジョン・サールが心身問題という哲学の古くからの問題について考察した六回の連続講演の記録であり、今回モダン・クラシックとして版が改められたものだ。この書物は二つの部分で構成される。前半の三回…

『ネアンデルタール人の正体』 赤澤威 編 (朝日選書)

→紀伊國屋書店で購入 2004年1月に開かれた『アイデンティティに悩むネアンデルタール――化石人類研究の最前線』というシンポジュウムを活字化した論集で、11人の研究者が参加している。座長で編者の赤澤威氏は1993年にシリア北部のデデリエ洞窟で完全に近いネ…

『明治の音』内藤 高(中公新書)

→紀伊國屋書店で購入 「西洋人が聴いた日本の文化」 1853年7月、久里浜に上陸したペリー提督に伴って、軍服に身を包んだ軍楽隊が上陸行進の中にいた。このとき日本人たちが初めて眼にした金管楽器や打楽器は、さぞかし煌びやかに映ったであろう。日本初…