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プロの読み手による書評ブログ

2007-05-11から1日間の記事一覧

『何も起こりはしなかった』ハロルド・ピンター[著]喜志哲雄[編訳](集英社新書)

→紀伊國屋書店で購入 [劇評家の作業日誌](25) 「知識人」という言葉にマイナスイメージが付与されるようになったのはいつからだろうか。口先だけで行動しない、言葉は華麗だが実質を伴わない――こういう非難は、多くの知識人たちが、本来もっているはずの行…

『殺された側の論理』藤井誠二(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 「復讐への加担というジャーナリストの仕事」 ノンフィクションライター、藤井誠二の新刊である。 (藤井誠二のブログ→http://ameblo.jp/fujii-seiji/) 藤井誠二といえば、教育と少年事件をおもなフィールドにした書き手である。1984年…

『砂の女(改版)』安部公房(新潮文庫)

→紀伊國屋書店で購入 ">「非現実から現実へ」 パリのシャイヨー宮にあった、一種の名画座とでも言えるシネマテックで、安部公房の「砂の女」を観たのは、15年以上も前の事だ。勅使河原宏監督のこの素晴らしい映画は、日本で一度観ていた。だが、一体パリでは…

『テレビのエコーグラフィー――デリダ〈哲学〉を語る』ジャック・デリダ+ベルナール・スティグレール(NTT出版)

→紀伊國屋書店で購入 ●「技術論と憑在論 ――イメージ、アーカイヴ、テレテクノロジー」 ジャック・デリダとベルナール・スティグレールは、現代世界の諸問題(自由主義経済、文化資本主義、ナショナリズム、グローバリゼーションなど)を、映像メディアやテレ…

『偶然からの哲学』(未邦訳・未英訳)ベルナール・スティグレール<br><font size="2">Bernard Stiegler, 2004, <I> Philosopher par accident </I>, Galiée</font>

→紀伊國屋書店で購入 ●「<技術の問い>と<哲学の問い>」 ベルナール・スティグレールの哲学の投企は、主体と客体、人間と環境、存在と時間の関係を先立って定立する(前‐定立)、人工器官、補綴、代補、すなわち技術へと向けられる。スティグレールは、そ…