書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2007-06-29から1日間の記事一覧

『訴えられた遊女ネアイラ―古代ギリシャのスキャンダラスな裁判騒動』デブラ・ハメル(草思社)

→紀伊國屋書店で購入 「裁判で読むアテナイの生活」 古代のギリシアは完全な男社会だった。男性は家を支配し、ポリスにおいては政治の世界を独占した。女性が外出したり、戸口から外を覗いたりするのは下品なこととされていた。家の中でパンをやき、衣類を紡…

『VOL 02』(以文社)

→『VOL 01』を購入 →『VOL 02』を購入 「格差」の話に飽きた人のために この1週間で2日しか仕事がないー。 トホホな話だが、こんなイントロで書評を始める人など、このサイトにはいないでしょう。 本当に飽き飽きしてしまったのだ、思想の話でも音楽の話でも…

『生物と無生物のあいだ』福岡伸一(講談社現代新書)

→紀伊國屋書店で購入 生命の本質を分子レベルで問う 生き物のことを考えるようになったのは、スナネズミを飼うようになってからだ。 一匹、一匹の差が際立っていて、ひとつとしておなじものはいない。 犬猫ならそれも当然と受け流せるが、 こんなに小さな生…

『アルジャジーラとメディアの壁』石田英敬・中山智香子・西谷修・港千尋(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 ●「映像の地政学 ――情報戦争、世界化、メディア」 極東の四人の研究者が、中東の砂漠の島を訪れる。グローバリゼーションが進行し、米欧の主導によって世界の一元化が進展しているなか、この島は、それとは異なったオルタナティヴな視角…

『乾隆帝-その政治の図像学』中野美代子(文春新書)

→紀伊國屋書店で購入 マニエリスト皇帝のテアトロクラシー バルトルシャイティスの『アナモルフォーズ-光学魔術』は、加筆増補が行われなければ、明・清の中国宮廷における驚異の歪み鏡、歪曲遠近法の流行を記述したところで終っていたのである。こうだ。 …