書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2007-10-23から1日間の記事一覧

『一六世紀文化革命. 1 』山本義隆(みすず書房)

→紀伊國屋書店で購入 「メディアとしての書物の力」 一五世紀の半ばに印刷書籍が一般に流通するようになったことが、科学の世界にどれほど大きな影響を与えたかを詳しくたどるこの著書は、書物論としても読み応えのあるものだ。それまで手書きで筆写していた…

『The Brief Wondrous Life of Oscar Wao』Junot Diaz(Riverhead Books)

→紀伊國屋書店で購入 「待ったかいがあったディアズのトラジ・コメディ長編作品」 1996年に出版された短編集『Drown(邦題:ハイウェイとゴミ溜め)』から約10年、待ちに待ったジュノ・ディアズの最初の長編作品が出版された。 『Drown』が発表された…

『〈病〉のスペクタクル 生権力の政治学』 美馬達哉(人文書院)

→紀伊國屋書店で購入 「「健康」は義務なのか?」 今回も神経内科医が書いた本を紹介する。 著者の美馬先生とは先日、某書店が企画したイベントで久しぶりにお会いしてその後、飲みに行ったが、正面に座られた美馬さんのステキなネクタイ、よく見ればアニメ…

『人種概念の普遍性を問う-西洋的パラダイムを超えて』竹沢泰子編(人文書院)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 以前にも書いたことがあるが、基本的に論文集は、単著であっても編著であっても、この書評ブロ…

『鉄道旅行の歴史-19世紀における空間と時間の工業化』 ヴォルフガング・シヴェルブシュ[著] 加藤二郎[訳] (法政大学出版局)

→紀伊國屋書店で購入 マルクスもフロイトもみんなみんなレールウェイ 文化史を名のる本の例に漏れず注が充実して面白いので、そちらを読むうちに、シャルル・ボードレールを「チャールズ・ボードレール」とした表記に繰り返し出合うので、その程度の訳なんだ…