書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2007-10-28から1日間の記事一覧

『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』 ルービン (新潮社)

→紀伊國屋書店で購入 『ねじまき鳥クロニクル』の英訳者であり、『世界は村上春樹をどう読むか』にも参加しているジェイ・ルービン氏による本格的な村上春樹論である。表題は軽めだが、中味はオーソドックスな伝記批評であり、アメリカの文学研究の水準で書…

『世界は村上春樹をどう読むか』 国際交流基金:企画/柴田元幸・沼野充義・藤井省三・四方田犬彦:編 (文藝春秋)

→紀伊國屋書店で購入 国際交流基金は2006年3月に、世界16ヶ国から村上春樹の翻訳者19名を招いて、「村上春樹をめぐる冒険―世界は村上文学をどう読むか」というシンポジュウムとワークショップをおこなったが、本書はその記録である。 シンポジュウムというと…

『貧しい音楽』大谷能生(月曜社)

→紀伊國屋書店で購入 「複製技術を介した音楽体験を考察する」 私は本書にインタビューが載っているミュージシャンをひとりも知らず、しかもテクノやアブストラクト・ヒップポップやミュジーク・コンクレートなるジャンルにもうとい。 書評するのははなはだ…

『The Zoo Father』Pascale Petit(Seren)

→紀伊國屋書店で購入 「英詩の二大派閥」 筆者の専門は英米詩研究なので、たまにはこの方面の本を取り上げてみよう。 英詩の言葉遣いを思い切り単純化して、ざっくりふたつの流派に分けるとどうなるか。一方は滑らかでつるつるして口当たりの良い「流麗派」…

『花の都パリ「外交赤書」』篠原孝(講談社+α新書)

→紀伊國屋書店で購入 「パリを通してみる官僚の内幕話」 パリに暮らしていると、日本ではお会いできないような人たちと出会うことがよくある。かつて日本レストランでアルバイトをしていた友人は、その店で大島渚に出会い、知人は故ミッテラン大統領が孫娘を…