書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『ビューティ・ジャンキー』アレックス・クチンスキー(バジリコ)

→紀伊國屋書店で購入 「美容整形の先進国アメリカの現実」 美容整形の内幕を描いたルポである。 いま美容整形をしたいと考えている人は読んで欲しい。一冊2000円(税抜き)で、美容整形産業のエッセンスが理解できる。たいへんお買い得である。肉体にメ…

『竜とみつばち-中国海域のオランダ人400年史』レオナルド・ブリュッセイ著、深見純生・藤田加代子・小池誠訳(晃洋書房)

→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 「VOC[オランダ東インド会社]の文書にのみ基づいて歴史を述べると、視点が一方的になりが…

『ブラジル人と国際化する地域社会-居住・教育・医療』池上重弘(明石書店)

→紀伊國屋書店で購入 「未来都市ハママツへ ようこそ!」 静岡県浜松市は日本最大の日系ブラジル人コミュニティがある地方都市。その浜松の現在を知るための必読書だ。 発行は2001年8月。浜松に日系ブラジル人が急増するのは1990年。この年に施行された新し…

『田舎暮らしに殺されない法』丸山健二(朝日新聞出版)

→紀伊國屋書店で購入 「少数派を殺す田舎を変えるためには、よそ者、若者、馬鹿者の特徴を持った人間が必要だ。」 浜松まつりで駅前を歩いた。外国からの移民が多い。駅前を歩く人々の約10%は日本人ではない外見だ。日本人の外見と見分けがつかないアジア…

『おうちで楽しむにほんの行事』広田千悦子(技術評論社)

→紀伊國屋書店で購入 「暮らしの中のにほん」 私は日本で生まれ、日本で育っている。 でも、どれだけ日本のことを理解して紹介できるかな、と思ったとき なにも難しく考えることはひとつもなく、何気ない暮らしのなかにたくさんのにほんの文化が息づいている…

『富豪の時代-実業エリートと近代日本』永谷健(新曜社)

→紀伊國屋書店で購入 こんな領域横断もありか、という驚き 明治後半から昭和初年にかけての、現在の日本の基盤を築いた半世紀という、いま日本で学者をやっていて一番面白がるべき問題を(「文学」を入口として)探ることができる本を、当書評欄でここ数回、…

『ちいさいおうち』バージニア・リー・バートン文・絵 石井桃子訳(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「石井桃子さんありがとうございました」 4月2日に、とうとう石井桃子さんが亡くなられた。昨年の春には100歳の記念のブックフェアなどが開催され、楽しんだものだった。 悲しみにくれていてもあっというまに5月になってしまう。時は残…

『演劇論の変貌-今日の演劇をどうとらえるか』毛利三彌・編(論創社)

→紀伊國屋書店で購入 [劇評家の作業日誌](36) 先日、ブルガリアのソフィアで開かれた演劇批評の世界会議に参加した(4月14日~18日)。30か国、約100名の演劇批評家が集まる大会の今回のテーマは「暴力と人間性」。3日間、30人以上のスピーカーがひっきり…