書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2008-09-12から1日間の記事一覧

『南方熊楠日記2(1897‐1904)』南方熊楠(八坂書房)

→紀伊國屋書店で購入 毎日、とても長い距離を歩いた。お金がなかったせいだ。キュー植物園からアールズ・コートまで、或いはノッチンガムヒルから大英博物館、翌日はバタシーからブルームズベリーへと。ほとんどの場合、深夜遅く、へべれけに酔いながら。わ…

田家秀樹 「新宿と音楽」

新宿はいつの時代も新しい音楽を送り出してきた。 それぞれの世代にとって、新宿で聞いた音楽というのが青春のBGMとして残り続けているのだと思う。 例えば、60年代に新宿で過ごしていた人たちにとってはモダンジャズが、そういう音楽に当たるのだろう…

『秋の四重奏』バーバラ・ピム著、小野寺健訳(みすず書房)

→紀伊國屋書店で購入 「自分の人生と同じような人生を映した小説」 この小説は、退職を間近にした、60ちょっとすぎぐらいの男2人と女2人、合計4人が主人公の物語である。人生の秋を迎えた者たちが奏でる四重奏。それがこの作品の題名の由来である。 小説…