書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「河出ブックス」創刊まで、あと1ヶ月。

こんにちは。河出書房新社編集部の藤﨑と申します。 しばらくのあいだ、この書評空間にお邪魔することになりました。 どうぞよろしくお願いします。 さっそくですが、私ども河出書房新社では、10月10日、「河出ブックス」という新シリーズを創刊します! い…

『エーテル・デイ―麻酔法発明の日』ジュリー・M・フェンスター 安原和見 訳(文春文庫)

→紀伊國屋書店で購入 「医療史の分水嶺を生きた群像」 麻酔のなかった時代、外科手術は何を当てにしていたのか。ざっと羅列するとこのようになるらしい。ちなみに、これは欧米の場合。1)アヘンの使用。2)アルコールの使用。3)心頭滅却。4)催眠術。5…

『皇軍兵士の日常生活』一ノ瀬俊也(講談社現代新書)

→紀伊國屋書店で購入 「あとがき」冒頭で、著者一ノ瀬俊也は、つぎのように書いている。「本書の執筆中、第三章の「応召手当」の項では、現在社会問題となっている「派遣社員切り」のことを、第四章の戦死者「死亡認定」の項ではいわゆる「宙に浮いた年金」…

『原っぱが消えた 遊ぶ子供たちの戦後史』堀切直人(晶文社)

→紀伊國屋書店で購入 「人間はただそこに勝手に生きているだけで自由だ」 前々回に坪内祐三の『ストリートワイズ』を取り上げたとき、彼が「青空」や「原っぱ」といった比喩で語る「放課後戦後民主主義」というアイディア(それは「学校戦後民主主義」に対置…

『手紙が語る戦争』女性の日記から学ぶ会・編 島利栄子・観衆(みずのわ出版)

→紀伊國屋書店で購入 オトウサンオゲンキデイラッシャイマスカ。私モゲンキデマイニチガッコウヘカヨッテイマス。オトウサン私ハオトウサンガハヤクコナイカとオモッテイマス。オトウサンガクレバ私ハオモシロイノデスモノ。オトウサンハヤクメンカイニキテ…

『文学の精神分析』斎藤環(河出書房新社)

→紀伊國屋書店で購入 「文学につける薬」 「文学」が嫌い、という人が意外に多い。関心がないというのではなく、積極的に、嫌い。筆者の勤務先は、「文学研究者」をめざしている人がいるはずの所なのだが、実際には、文学が嫌い、という人がけっこういる。口…

『新日本現代演劇史〈2〉安保騒動篇 1959‐1962』大笹吉雄( 中央公論新社)

→紀伊國屋書店で購入 「<劇評家の作業日誌>(47)」 大笹吉雄氏の『新日本現代演劇史』の刊行が始まった。すでに2冊まで出版され、今後も4ヵ月に1冊のペースで続き、来年の上半期には全5巻が完結する予定である。 本演劇史は、実は8年前にひとまず…