書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2010-06-29から1日間の記事一覧

『ケプラー疑惑―ティコ・ブラーエの死の謎と盗まれた観測記録』 ジョシュア・ギルダー&アン=リー・ギルダー (地人書館)

→紀伊國屋書店で購入 1601年10月24日、チコ・ブラーエは亡命先のプラハで54歳で急死した。死因は尿毒症か尿路感染症とされてきたが、本書は水銀製剤による毒殺であり、下手人は共同研究者だったケプラーだと告発している。 400年もたってなぜそんな話が出て…

『現代詩文庫 宗左近詩集』宗左近(思潮社)

→紀伊國屋書店で購入 「ヴァーチャルから実体へ」 宗左近が逝って4年になる。東京大空襲の時に、手を離したために母を死なせてしまい、自己への叱咤のために「そうさ、こんちくしょう!」と言ったのがペンネームの由来だというのは有名だ。だがそんなエピソ…

『Toxic Talk : How the Radical Right Has Poisoned America’s Airwaves 』Bill Press(Thomas Dunne Books)

→紀伊國屋書店で購入 「アメリカのライトウイング司会者が伝える「嘘」」 前回の大統領選で共和党候補のジョン・マケインが負け、勢いを失ったアメリカの共和党。共和党はいま党を引っ張っていくリーダー不在の形だ。 一方、オバマ・アドミニストレーション…

『リハビリの夜』熊谷晋一郎(医学書院)

→紀伊國屋書店で購入 「意識と身体のままならなさが、敗北の官能を呼び込む」 脳性麻痺とは何か。さまざまな本が書かれてきた。当事者、家族、専門家・・・。マイノリティのなかのマイノリティといえる脳性マヒ者たちは語られつくされている。そう思っていた…

『日本赤十字社と人道援助』黒沢文貴・河合利修編(東京大学出版会)

→紀伊國屋書店で購入 「日本赤十字社の歴史は、その高い知名度に反して、一般的にはあまりよく知られていない」という。その理由は、「第一に、人道援助そのものにたいする一般的な関心の高まりが、湾岸戦争以降の「国際貢献」をめぐる議論に触発された側面…