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プロの読み手による書評ブログ

2010-09-27から1日間の記事一覧

『快傑デカルト―哲学風雲録』 ダヴィデンコ (工作舎)

→紀伊國屋書店で購入 フランスのジャーナリスト、ディミトリ・ダヴィデンコが書いたデカルトの伝記小説で、原題を直訳すれば『醜聞の人デカルト』である。 読みはじめて啞然とした。一般に流布しているデカルト像とあまりにも違うのだ。語り口も講談調でまさ…

『エレーヌ・ベールの日記』エレーヌ・ベール著 飛幡祐規訳(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「60余年を経て発表されたユダヤ系フランス人女性の日記」 前回取りあげたジェラルディン・ブルックスの『古書の来歴』は、ユダヤ教徒が過越しの祭りのときに読むハガダーという書物の物語だった。本来は挿画を入れてはいけないはずなの…

『自然と日本人 宮本常一著作集 43』宮本常一(未來社)

→紀伊國屋書店で購入 「風景の歴史」 本書を読んでつくづくと関心するのは、日本の風景を構成している植物にも長い歴史があるということだ。山歩きをしていて里山におりてくると、杉林にであうことが多い。それまでの明るい道とは一変して、陽の指さないうっ…

『徴兵制と良心的兵役拒否-イギリスの第一次世界大戦経験』小関隆(人文書院)

→紀伊國屋書店で購入 シリーズ「レクチャー 第一次世界大戦を考える」の1冊である。帯に、「兵役拒否者は、独善的な臆病者なのか?」と大書してあり、その上に、「未曾有の総力戦を背景に、史上初の徴兵制実施に踏み切ったイギリス。その導入と運用の経緯を…

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦(角川文庫)

→紀伊國屋書店で購入 「怪傑乙女の華麗な冒険!」 今年も夏の一時帰国時に京都へ寄った。第一目的は先斗町のバーである。ここの所毎年通っている。目立たない所にあるのだが、一等地なのに料金は非常にリーズナブルで、殆ど年中無休で開いている。お客さんは…