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プロの読み手による書評ブログ

2010-09-30から1日間の記事一覧

『デカルト、コルネーユ、スウェーデン女王クリスティナー-一七世紀の英雄的精神と至高善の探求』 カッシーラ (工作舎)

→紀伊國屋書店で購入 哲学者デカルト、劇作家コルネーユ、女王クリスティナの三人を通して17世紀の時代精神を読みとろうとする試みである。本書は仏訳版からの邦訳で原著の一部が割愛されているが、重訳ながら訳文はカッシーラの重厚な風格をよく伝えている…

『駱駝はまだ眠っている』砂岸あろ(かもがわ出版)

→紀伊國屋書店で購入 七〇年代のはじめの京都。ヒロインは、烏丸今出川にある喫茶店・駱駝館の娘、森下ろまん、十四歳。 ろまんの母親がそれまでの仕事を辞め、娘とふたり、山科の実家を離れて喫茶店をはじめたのは、ろまんが学校へ行きたくない、と言い出し…

『ひと目で納得! 音楽用語事典』関孝弘 ラーゴ・マリアンジェラ(全音楽譜出版社)

→紀伊國屋書店で購入 音楽書籍の中では常に売れ筋上位にランキングされている『これで納得!よくわかる音楽用語のはなし』(2006年9月の書評で紹介)の姉妹版が登場した。「これで納得!」が「ひと目で納得!」になったところからも想像できるように、新著で…

『ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院』水月昭道(光文社)

→紀伊國屋書店で購入 「知識人たちを絶望させる日本社会」 大学教員という希望する職につけない。その絶望的な状況のなかで、いま博士号を取得した知識人たちが何を考えているのかを活写している。 「高学歴ワーキングプア」という言葉をつくった著者は、自…