書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2011-12-26から1日間の記事一覧

『私にとっての20世紀』加藤周一(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「20世紀を理解するために」 年の瀬は一年を振り返る事が多い。ついでに前世紀を振り返ってみるのも悪くない。歴史が「現在」である時はその姿を現しにくいが、それが「過去」となってきた時に、初めて我々にも理解できる形で見えてくる…

『稲垣足穂』稲垣足穂(筑摩書房)

→紀伊國屋書店で購入 「星とヒコーキをこよなく愛した男」 稲垣足穂の作品と出会ったのは高校生の頃だから、かなり前になる。しかし、時々無性にあの独特の文章に触れたくなる。疲れた時や、雑然とした世の中に倦んだ時など最適だ。特に『一千一秒物語』など…

『昭和電車少年』実相寺昭雄(ちくま文庫(筑摩書房))

→紀伊國屋書店で購入 「実相寺昭雄の想像力を培ったものは何か」 ―それは昭和という時代であり、鉄道という存在であった。 実相寺昭雄といえば、知る人ならば誰もが知っている映画監督である。私がその名を知ったのは、ウルトラマン関連のいくつかの作品であ…

『革新幻想の戦後史』竹内洋(中央公論新社)

→紀伊國屋書店で購入 「新しい「教養」のために必読の書」 一気に読み終えた。もう十年近く前の大晦日、小熊英二氏の名著『<民主>と<愛国>』を読んで徹夜したのを思い出すが、それ以来の知的興奮。こちらも500頁を超える大著だが、文字通り「厚み」の…