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プロの読み手による書評ブログ

2012-05-31から1日間の記事一覧

『文化のダイヤモンド―文化社会学入門   (原書名:CULTURES AND SOCIETIES IN A CHANGING WORLD)』ウェンディ・グリスウォルド 著 / 小沢一彦 訳(玉川大学出版部)

→紀伊國屋書店で購入 「グローバル化する文化を記述するためのモデルの探究」 現代社会はグローバル化の進展が著しいが、それは我々が日々享受するポピュラー文化についても例外ではない。 一国あるいは一つの社会内だけでというよりも、幾重にも複雑化した…

『世界軍歌全集―歌詞で読むナショナリズムとイデオロギーの時代』辻田 真佐憲(社会評論社)

→紀伊國屋書店で購入 「あの麻木久仁子氏もtwitter上で所望した貴重な網羅的資料集」 はじめに、で書かれているように、本書は「軍歌の標本」となるべく、「世界各国の軍歌をひとつの素材として取り上げることで、各位の興味や趣向にあわせて随意に翫賞して…

『孤立の社会学―無縁社会の処方箋』石田光規(勁草書房)

→紀伊國屋書店で購入 「孤立をめぐる学際的研究の可能性」 本書の魅力は、今日の日本社会における孤立という問題点をめぐって、その学際的研究の可能性を感じさせる点にある。言うなれば、孤立を社会的事実としてとらえたうえで、多角的にその背景を分析した…

『のりもの絵本―木村定男の世界 <1><2>』関田克孝 監修・文(フレーベル館)

→紀伊國屋書店で購入 「ホンモノよりもリアルな「のりもの絵本」の世界へ」 かつて、「のりもの絵本」というジャンルがあった。鉄道を筆頭に、自動車や飛行機といったさまざまな乗り物が、おおむね小学校入学前か低学年の子ども向けにわかりやすく、描かれた…

『スフィンクスは笑う』 安部ヨリミ (講談社文芸文庫)

→紀伊國屋書店で購入 安部公房の母、ヨリミが新婚早々安部公房を妊娠中に書いた小説である。 ヨリミは1899年、旭川のはずれの開拓地東高鷹村に生まれ、東京女子師範学校(現在のお茶の水女子大)に進むが、社会主義団体のビラを校内にはりだしたために放校に…