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プロの読み手による書評ブログ

2012-07-31から1日間の記事一覧

『現代語訳 舞姫』 山崎一穎監修、井上靖訳 (ちくま文庫)

→紀伊國屋書店で購入 『舞姫』の現代語訳が必要とされる現状は残念であるが、井上靖が訳した『舞姫』があるというので読んでみた。 もともとは1982年に学研から出た『カラーグラフィック明治の古典』シリーズの鷗外の巻のために訳されたが、2003年に筑摩書房…

『『舞姫』エリス、ユダヤ人論』 荻原雄一編 (至文堂)

→紀伊國屋書店で購入 エリスのモデル、エリーゼ・ヴィーゲルトの実像が判明したのだから今さらであるが、何が書いてあるのだろうという好奇心から読んでみた。ユダヤ関係では凡人には理解しがたい天才的なひらめきで書かれた本をよく見かけるが、本書も超天…

『東北おやつ紀行』市川慎子(中央公論新社)

→紀伊國屋書店で購入 餅状の皮のなかに黒蜜とくるみのつまった花巻の「経木まんじゅう」。うす小豆色で持ち重りのする青森の「久慈良餅」。最中の皮にしゃりしゃりと砂糖で固めた小豆がのった酒田の「豆皿」。三角に折りたたんだクレープのような生地にあん…

『インターネットの銀河系-ネット時代のビジネスと社会』マニュエル・カステル著/矢澤修次郎・小山花子訳(東信堂)

→紀伊國屋書店で購入 「望ましいネットワーク社会を考え続けるために~ネットワーク社会論の新たな古典」 本書は、南カルフォルニア大学教授であるマニュエル・カステルによって書かれた学術書である。インターネット社会を理解するための、あるいはインター…

『ON THE CIRCLE』普後均(赤々舎)

→紀伊國屋書店で購入 「円形の小宇宙、そこに生起する生命感」 具象と抽象を分けるものは何だろう。両者にはっきりとした境界はあるだろうか。抽象は表現者のどのような衝動から生じるのか。とそんな考えにふけることがある。 抽象化への情熱はどんなメディ…

『地域・生活・国家』水島司・和田清美編(日本経済評論社)

→紀伊國屋書店で購入 本書は「21世紀への挑戦」全7巻の1冊で、「刊行にあたって」本シリーズが目指したのは、「人類史、社会史の劇的変化の解明」である。ほかの6巻のタイトルは、つぎの通りである:「哲学・社会・環境」「グローバル化・金融危機・地域再生…

『脱会議―今日からできる!仕事革命』横山信弘(日経BP社)

→紀伊國屋書店で購入 「効率的な会議のあり方を考えるために」 「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがある。多忙な合間を縫って、信頼のできる優秀な仕事仲間と意見交換をする時間をなんとか確保できると、頭を悩ませていた問題が一気に解決し、先行きが…

『気楽に殺ろうよ』藤子・F・不二雄(小学館文庫)

→紀伊國屋書店で購入 「脱常識トレーニングのためのSFマンガ 」 社会学は、よく脱常識の学問だと言われる。人々が「当たり前」のものとして自明視してきた考え方が、決して「当たり前」のものではないということ、すなわち、社会的、歴史的な背景をもって…