書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2013-01-31から1日間の記事一覧

『三島由紀夫 幻の遺作を読む』 井上隆史 (光文社新書)

→紀伊國屋書店で購入 著者の井上隆史氏は三島由紀夫の遺稿を保存する山中湖文学の森三島由紀夫文学館の研究員で、「幻の遺作」とは副題に「もう一つの『豊饒の海』」とあるように、同館が収蔵する創作ノートと草稿の研究から想定された『豊饒の海』の別の結…

『東京高級住宅地探訪』三浦展(晶文社)

→紀伊國屋書店で購入 「理想の住宅地のなれの果てを歩き回った記録」 本書は、消費社会研究家の三浦展氏が、東京西郊のいわゆる高級住宅地について、いくつもの文献を参照しながらその成立の経緯を辿るとともに、実際に歩き回った記録に基づいてその現状を記…

『水戸岡鋭治の「正しい」鉄道デザイン ― 私はなぜ九州新幹線に金箔を貼ったのか? 』水戸岡鋭治(交通新聞社新書)

→紀伊國屋書店で購入 「JR九州の鉄道デザインはなぜあんなにも「奇抜」なのか」 鉄道を趣味とする人々にはすでに知られた情報だが(一般の新聞にも記事として掲載されていたが)、昨年末、国鉄で副技師長を務められた星晃氏が亡くなられた。星氏といえば、…

『パリ愛してるぜ~』じゃんぽ~る西(飛鳥新社)

→紀伊國屋書店で購入 「「日常化」したフランス」 フランスについて書くのは勇気がいる。日本には、この国に対して異様なまでに思い入れの深い人々がたくさんいるからだ。 かつて永井荷風は、『ふらんす物語』の中で、帰国日の嘆きを次のように書いていた。 …