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『研究計画書の考え方 大学院を目指す人のために』 妹尾堅一郎(ダイヤモンド社)

研究計画書の考え方 大学院を目指す人のために

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「論文を書いたことがない人にも、分かりやすく丁寧な解説書」

まずは、日本電子出版協会(JEPA)第一回電子出版賞の部門賞、


オリジナル・サービス賞の受賞を祝って。

《書評空間》のスタッフの皆さん、そして評者の先生方、

おめでとうございます。

前回、ご紹介した京都新聞の『折れない葦』といい、

ここのところ、身近な関係者の吉報が相次ぐので、

まるで自分が、何か良い兆候をもたらす使者のような、

誇らしい気持ちになってくる。

他人の成功まで、自分のおかげだと思える私は、

苦労性の人たちには申し訳ないが、お得な性格かもしれない。

そういえば、

うちの大学院、

立命館大学大学院先端総合学術研究科も、

グローバルCOEに当たりました。

これもまた、有能でハートフルな先生たちを

叱咤激励して働かせた私(たち)のおかげだと

内心、素直に喜んだ私だ。

プロジェクト名は、「生存学創生拠点」

指導教員の立岩真也氏が、応募書類を書くために

昨年末頃から相当エンジンかかっていたのは、よく知っている。

病気や障害の当事者が大勢集まってくるこの研究科において、

「障老病異と共に暮らす世界の創造」とは、すなわち、

<障害者>と<老人>と<病人>と<異形の者>の

自由と平等のための研究を志すことである。

しかし、別の見方をすれば、

貧乏な院生たちの「生存」のために、研究というお仕事を創出し、

「院生と共に暮らせる大学院を創造」したいから、

先生たちが頑張った、という涙ぐましい側面もある。

明日は、大阪でうちの大学院の入試説明会が催されるそうだ。

ここのところ、私みたいな中年大学院生は珍しくもないが、

大学院側にとっては、就職指導の手間も省ける、よい客筋であろう。

でもまさかこの齢になって、自分が大学院に進学するとは、

立岩先生にお声かけていただくまでは思ってもみなかった。

というのも、私が大学生だった頃、1980年代は、

フツウのオンナの人生は、短大や大学の卒業時が最初の分岐点で、

大企業に就職してよい人を見つけて身を固め、良妻賢母のフリをするか、

あるいは、当時流行だった「とんでるオンナ」、そして「結婚しない女」になって

キャリアを目指すフリをするか。そのどちらかの選択肢しか私にはなく、

大学院に進学できるなどは、よほどの秀才か、金持ちの娘だった。

私の父は、いつか嫁にやる娘の学費こそ、出し渋っていたので

義務教育以降のアカデミズムは、贅沢品だった。

だから、二者択一ならば、私は前者の仁義を切り、

22歳、大学を卒業した年に結婚をして、足立区は北千住のアパートに住み、

初めて親元を離れる自由を獲得した。

さて、今回は書評というよりも、大学院を目指す人に良書を紹介する。

ALSの社会学的研究などは、一種のキワモノ研究なので、珍しがられて、

たぶん、何を書いても通してもらえるとは思ったのだが、

自己推薦枠のトライアルではあっても、一通りの研究報告書が

書けるようになりたいと思って、参考にした本がある。

そしたら、後になってわかったのだが、他の院生もその本が役に立ったと

言っていた。だから、たぶんこの手の本では秀逸な一冊である。

先端研に入院して4年、どちらかといえば、先生たちを大学の外で

引き摺り回して、運動の拡大に成功した。

おかげさまで、今年は国から当事者参加型アクションリサーチのために、

たくさんの研究費をいただいた。

先生はじめ関係者の皆さん、

私の研究対象になってくれた母に感謝。

これも受賞といえば、受賞のようなものではある。

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