第8位 『一瞬の風になれ 第1部』 佐藤多佳子
(講談社/税込1,470円)
誰よりも速く走りたい、身体の反射にも似たシンプルな欲求と、仲間の為にバトンを繋ぐ、その責任と連帯感。彼らは(作者は)個人競技である陸上の中から何故、ヨンケイ=400mリレーを選んだのだろう。とにかく面白い。読み出したら止まらない、続きが気になって気になって一気読みするしかない、誰かとこの本について語り合いたくて仕方がない、そういう本。才能の輝きも持たざる者のひたむきさもみんな強くてかっこいい。彼らが高校3年間かけてつかんだもの、ぎゅうっと胸が熱くなった。
(平野千恵子・新宿本店)
こういう青春を送りたかった! ひたむきでまぶしくて、何度も泣きそうになった。走り出したくて、全身がうずうずした。心だけでなく、こんなにも体を動かされる小説は、そうそうないと思う。たとえ、さすがにもう走るのはムリという方でも(かく言う私も)、人生という名のフィールドに改めて駆け出す力をもらえますよ。
(今井麻夕美・新宿本店)