『Cults in Our Midst』Margaret T. Singer(Jossey-Bass Inc)
「アメリカのカルト集団についての本」
最近、たて続けにアメリカの「カルト」に関わる本を読んだ。アメリカのカルト集団というと、1997年3月26日、宇宙人が自分たちを迎えにきたと告げ集団自殺をしたヘブンズ・ゲイトや、テキサス州ウエイコでFBIと対立し、最後には教会に火をつけ信者たちを殺し、自分も死んだコレッシュ率いるブランチ・デイビアンなどがある。
今回読んだ1冊目はセント・マーティン・プレスより97年に発刊されたジェス・ブレイヴィン著「Squeaky:The Life and Times of Lynette Alice Fromme」。これは、69年にカリフォルニアでシャロン・テイトなどを殺害した、チャールズ・マンソン・ファミリーのメンバーだったリネット・フロムの伝記だ。
サンタ・モニカの郊外で生まれたリンが、チャールズ・マンソンに出会い、まだマンソン・ファミリーと呼ばれる以前のマンソンのグループに入っていく。マンソンが殺人で逮捕された数年後、リンは足に拳銃を巻き付けスカートで隠し、サクラメントで当時の大統領だったジェラルド・フォードの暗殺を試みる。暗殺は失敗しリンは捕えられ、刑務所に送られる。
興味深かったのは、普通の女の子だったリンがマンソンに惹かれていった過程や、マンソン・ファミリーがいかに機能していかたなどの、詳細な記述の部分だった。マンソンはほかのカルト集団のリーダーのように、メンバーの性生活、食生活、行動などを全てコントロールしていた。
もう1冊はJossey-Bass Publisherから発行された「Cults In Our Midst」。
著者であるマーガレット・T・シンガーは、五十年間にわたりカルト集団を研究し、3000人に上るカルト・メンバーや、メンバーたちの親戚や家族、数百人にインタビューした。著者はカルト集団のリクルートの方法や、マインド・コントロールのテクニック、集団の中の生活などについて詳しく述べている。
ひとつひとつの項目の中で、カルト集団のもとメンバーからのインタビューやケース・スタディも交えてあるので、読み物としても臨場感がある。