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プロの読み手による書評ブログ

2007-05-30から1日間の記事一覧

『禁じられた福音書』 ペイゲルス (青土社)

→紀伊國屋書店で購入 おどろおどろしい題名だが、『トマスによる福音書』を中心に、グノーシス文書を一般読者向けに解説した本である。『トマスによる福音書』は早くに隠滅され、1945年にエジプトでナグ・ハマディ文書の一部として発見されるまでは幻の書だ…

『ひきこもりの国』マイケル・ジーレンジンガー著(光文社)

→紀伊國屋書店で購入 ●ひきこもりという静かな反乱は拡大する● この本は、ひきこもり問題の取材をしたアメリカ人ジャーナリストが、若者の個性を抹殺し、彼らをひきこもりに追いやる日本社会の構造を分析したものである。結論の一つとして、国際社会のなかで…

『「声」の資本主義―電話・ラジオ・蓄音機の社会史』吉見俊哉(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 ●「近代日本のざわめきの歴史」 本書『「声」の資本主義―電話・ラジオ・蓄音機の社会史』(1995)は、19世紀後半から20世紀初頭にかけての聴覚メディアの形成史をたどっている。著者・吉見俊哉は、社会や感覚の変容を技術変化の関数とし…

『いかにしてわれわれはポストヒューマンになったか』(未邦訳)キャサリン・ヘイルズ<br><font size="2">Hayles, Katherine N, 1999, <I>How We Became Posthuman: Virtual Bodies in Cybernetics, Literature, and Informatics</I>, Chicago: The University of Chicago Press.</font>

→紀伊國屋書店で購入 ●「情報学的人間像=ポストヒューマンへの警鐘:物質性の軽視」 本書は、「情報」というキーワードをもとに、K.ヘイルズが現代社会の人間像を考察した論考である。ヘイルズによると、現代社会においては、物質やエネルギーではなく情報…