書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2008-08-29から1日間の記事一覧

『食べる西洋美術史―「最後の晩餐」から読む』宮下規久朗(光文社)

→紀伊國屋書店で購入 ロンドンのウォレスコレクションやアムステルダムの市立博物館など、小規模ではあるが好ましいコレクションを持つ美術館を訪れたとき、先ず圧倒され、ついで辟易とさせられるのは、そのおびただしい風景画と静物画コレクションの質量で…

『癒しとしての笑い――ピーター・バーガーのユーモア論――』ピーター・L・バーガー(森下伸也訳)(新曜社)

→紀伊國屋書店で購入 「病いを滑稽に語ること」 著者であるピーター・バーガーは、1929年生まれの非常に著名な社会学者です。『日常生活の構成』や『聖なる天蓋』(ともに新曜社)に代表される、個人の意味世界と社会の構造、近代、宗教といった大きなテーマ…

『悩む力』姜尚中(集英社新書)

→紀伊國屋書店で購入 「異邦人の視点」 岡目八目ではないが、離れたところから見ると、ものの本質が良く見えてくることがある。最近、一般的な「日本人」とは違った「異邦人的視点」を持った人々が多く活躍している。リービ英雄、多和田葉子、水村美苗、楊逸…

『暴走する資本主義』ロバート・ライシュ(東洋経済新社)

→紀伊國屋書店で購入 「お買い得商品を買うごとに、格差が拡大する超資本主義の時代を理解するために」 タイトルからイメージする本書の内容は、左翼的な立場からの資本主義批判ではないでしょうか。しかし、そんなステレオタイプでは収まらないスリリングな…

鴻上尚史 「売店のおばちゃん」

紀伊國屋ホールのロビーの片隅に、売店がありました。一人のおばちゃんが(と言うのも失礼なのですが、でも僕たちは愛着を込めて、『売店のおばちゃん』と呼んでいました)が、飲み物を売っていました。 一坪のスペースもないような小さな売店でした。けれど…

『What Happened : Inside the Bush White House and Washington’s Culture of Deception』Scott McClellan(Public Affairs )

→紀伊國屋書店で購入 「報道官が伝えるブッシュ政権の闇」 この本の著者はスッコット・マクレラン。2003年から2006年まで今のブッシュ政権で報道官を務めた人物だ。アメリカの政治ニュース好きである僕にとってはテレビでお馴染みの人物だ。 200…