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プロの読み手による書評ブログ

2008-12-28から1日間の記事一覧

『文明崩壊』 ジャレド・ダイアモンド (草思社)

→上巻を購入 →下巻を購入 『銃・病原菌・鉄』で世界的に注目されたジャレド・ダイアモンドがふたたび文明論に挑んだ本である。『銃・病原菌・鉄』は人種間に差がないことを強調するあまり過激な地理決定論になっていたが、本書では文化的な差を重視し、環境…

『歴史を変えた気候大変動』 ブライアン・フェイガン (河出書房新社)

→紀伊國屋書店で購入 『千年前の人類を襲った大温暖化』の8年前に上梓された本だが、内容的には補完しあう関係になっている。『大温暖化』では同時代という切口で切り、中世温暖期はヨーロッパと北米以外の地域では大旱魃期だったことをあきらかにしたが、本…

『千年前の人類を襲った大温暖化』 ブライアン・フェイガン (河出書房新社)

→紀伊國屋書店で購入 温暖化懐疑論にくみするわけではないが、昨今のエコの大合唱には首をかしげたくなるところがある。古今未曾有の大惨事が起きるかのような騒ぎになっているが、地球はこれまでにも温暖期と氷河期をくりかえしてきたのである。 北極の氷が…

『ニッポンの小説 百年の孤独』高橋源一郎(文藝春秋)

→紀伊國屋書店で購入 高橋源一郎は「Provocateur」である。「挑発者、扇動者」とでも訳すのだろうが、こちらの心を落着かなくさせる。私たちが普段意識的または無意識的に心の片隅に追いやっているものに光を当てようとする。触れてはいけないものではなく、…