書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2008-12-30から1日間の記事一覧

『としょかんライオン』ミシェル・ヌードセン さく ケビン・ホークス え 福本友美子 やく(岩崎書店)

→紀伊國屋書店で購入 「あなたの図書館をみつけて。」 忘れもしない、小学校1年生のとき。 実家から歩いて5分もかからないところに、図書館ができた。 嬉しかった。 年子でひとつ下の妹と、ひたすら通った。 夏休みは朝ごはんを食べたらでかけ、 お昼になっ…

『マーケティング・リテラシー』谷村智康(リベルタ出版)

→紀伊國屋書店で購入 「広告が効かない時代のマーケティングとは」 世界の金融危機によって、輸出に依存してきた日本を代表するグローバル企業群(とくに自動車、家電)の凋落が始まりました。その恩恵を受けてきた産業である、メディア産業も危機に瀕してい…

『トヨティズムを生きる 名古屋発カルチュラル・スタディーズ』鶴本花織・西山哲郎・松宮朝(せりか書房)

→紀伊國屋書店で購入 「東海地方というモータウンの衰退が、日系ブラジル人を直撃する」 08年9月にアメリカの大手証券会社リーマンブラザーズが倒産。このリーマンショックからはじまった世界金融危機が日本経済に大打撃を与えています。とくにその利益の…

『見えない音、聴こえない絵』大竹伸朗(新潮社)

→紀伊國屋書店で購入 「「衝動」の因って来たるところ」 東京都現代美術館の全館を、子供時代から現在までの作品で埋め尽くした大竹伸朗の「全景」展が開かれたのは、2006年秋。もう2年もたったのかと思う。「なに」と一言でいえない事件に遭遇したような生…

『しあわせの王様――全身麻痺のALSを生きる舩後晴彦の挑戦――』舩後晴彦・寮美千子(小学館)

→紀伊國屋書店で購入 「病いの物語を支える他者の存在」 前回(2008年10月)のこのブログで、神経難病ALSを持つ人々による自己物語集『生きる力』を取り上げましたが、それに連なる一冊が最近出版されました。『生きる力』の寄稿者の一人でもある舩後晴彦…

『タイの開発・環境・災害-繋がりから読み解く防災社会』中須正(風響社)

→紀伊國屋書店で購入 「災害を天から降ってくる天災とせず、人災の部分に絞り込むことによって、抑止・コントロールし得る可能性を探る」という著者、中須正の立場に、まず賛同し拍手を送りたい。たしかに人間は無力で、神に祈るしかないときがある。しかし…