書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2010-03-30から1日間の記事一覧

『ロラン・バルトの遺産』 マルティ&コンパニョン&ロジェ (みすず書房)

→紀伊國屋書店で購入 2010年はバルトの没後30年にあたるが、三人の弟子の文章を集めた本が出版された。『ロラン・バルトの遺産』である(本書は日本で独自に編集されたもので、この通りの本がフランスで出ているわけではない)。 三人の著者はバルトが亡くな…

『喪の日記』 バルト (みすず書房)

→紀伊國屋書店で購入 バルトはサリトリウムで1943年から『ミシュレ全集』の抜き書きをはじめたが、その時使ったのがインデックス・カードだ。バルトは以後、メモや原稿の執筆をカードでおこなった。短い断章形式にはカードが向いているが、カードが断章形式…

『俺たち訴えられました!』烏賀陽弘道、西岡研介(河出書房新社)

→紀伊國屋書店で購入 「名誉毀損で勝ち抜いたジャーナリストの警鐘」 名誉訴訟で訴えられた二人のジャーナリストが、それそれの訴訟体験を赤裸々に語る対談本である。正確にいえば「対談」ではない。片方のジャーナリストが、もう一方にインタビューをすると…

『陵墓と文化財の近代』高木博志(山川出版社)

→紀伊國屋書店で購入 2008年、歴代の皇室関係の墓所である陵墓への立ち入り調査がおこなわれた。明治維新以来の画期であった。いっぽう、陵墓指定がされていないが、継体天皇陵であることが確実視されている今城塚古墳の調査が、1997年以降おこなわれている…