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プロの読み手による書評ブログ

2013-12-31から1日間の記事一覧

『シンメトリーの地図帳』 マーカス・デュ・ソートイ (新潮社)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 今回、途中で放りだしたのも含めると群論関係の本を13冊手にとったが、1冊だけ選べといわれたら、迷わず本書を選ぶ。わかりやすいというだけでなく、文章に含蓄があり、天才たちのエピソードの紹介にも人間的な奥行が感じられる…

『シンメトリーとモンスター』 マーク・ロナン (岩波書店)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 群論の研究者が書いた一般向けの本だが、内容はかなり高度である。 日本版の副題は「数学の美を求めて」だが、原著では「もっとも偉大な数学の探求の一つ」となっていて、著者自身が参加した「アトラス(地図帳)計画」をさす。…

『黒田官兵衛』小和田哲男(平凡社)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「軍師の実像」 2014年のNHK大河ドラマは、豊臣秀吉の軍師をつとめた黒田官兵衛が主人公だという。街の書店には、すでに官兵衛関連の本がたくさん並んでいる。そのなかで、本書(小和田哲男著『黒田官兵衛』平凡社新書、2013年)…

『アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた―シャイな息子と泣き虫ママのびっくり異文化体験記』小国綾子(径書房)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「これからの時代の、「子育て/親育ち」を少年野球に学ぶ!」 いきなり私ごとで恐縮だが、また以前の私をご存知の方ならば大いに驚かれることだろうが、今年度初めから、地元の少年野球チームでコーチをやっている。毎週末は、…

『<群島>の歴史社会学-小笠原諸島・硫黄島、日本・アメリカ、そして太平洋世界』石原俊(弘文堂)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「捨て石」ということばが気になった。第4章「冷戦の<要石>と<捨て石>」の「おわりに」で、著者、石原俊は、つぎのように繰り返し「捨て石」ということばを使っている。「小笠原諸島・硫黄諸島はアジア太平洋戦争において、…